北村先生にパソコンとC言語の本を見せたらなんて驚くだろう

青チャートで高校の微分積分をおさらいしている。

尤も高校の時には確率統計に勉強を絞って微積分は公式のみで分からないことも多かった。問題集も買ったが途中までしか解いていない。今解いても青チャートの内容は充分に手強く、ネットで進研ゼミの高校講座で基礎知識を補いながら、少しづつ進めている。

高校の時に数学が難しいと言うことで北村先生の自宅に3人ほど数学を習いに来ているということで誘ってもらった。北村先生は東大卒でもともと奈良県東大寺学園の数学教師で親父の恩師でもある。そして俺の通う奈良学園で数学を教えるお爺ちゃんになっていたのだが、もはや「あの先生は戦後のドサクサで東大に入ったようだが何言ってるかわからない」と言われていた。

それで、教えてもらえるということで俺は解けない青チャートを持っていって見てもらうとパラパラと読んで「おお、郷介。メチャメチャ良い本持っとるやないか。これどうしたんだ?」「本屋で買いました」「これ全部載っとるやないの。これ解いたらいいやん、解け解け」といって机にノートと参考書を置いて北村先生は特に何か教えるということではなく参考書の問題を前に唸っている俺を見つめていた。

チャート式は当時の受験生の常識のような参考書であったが、基礎編の青チャートと応用編の赤チャートというのがあって、分からないから基礎編のほうが良いだろうと青を選んだのだが、もっとこう授業内容以下の黄色と白色があるそうで、しかしそれは分かりやすいが習得しても受験問題のレベルには敵わないということらしい。受験勉強は誰でもコツコツやれば一定の成果が上げられると言われているが、青チャートが解けないものも居るのだから。

今裏返して本の値段を見ると消費税3%の時代で1270円。すごく大枚を叩いて買ったイメージだったので3000円くらいはした記憶だったが、ゲームとかマンガに使うお小遣いを自主的に参考書に当てたのは青チャートだけだったので、何か思い違いをしていたようだ。

それでも、北村先生が青チャートを良い本だと驚いたように、その時代に種々の本を集めて後に1冊の本にまとまる数学の体系をバラバラな状態から外国語の本で学ぶという時代を想像すると、青チャートはとても近代的な凝縮された参考書なんだろうなと思う。もっと易しい本とか難しい本とか、今お金は本を買うくらいならいくらでもあるけど、勉強のコツは本のせいにしてアレコレ買うより1冊に「とことん」向き合うことにあるという訓示がある。

初めて持ったNECのValueStarと比べて今使っているMacBookProは格段に便利だ。競合製品の後発であるIBM-PCから入ってつまりトヨタから外車に買い替えたみたいな話だが、プログラムを学んだときには「こんな道具があれば数学の勉強がいくらでも捗るぞ」と思ったものだった。

職員室で使うようになって今では全生徒にパソコンが与えられている時代に数学を基礎から学ぶというのはガスコンロやライターがあるのに火の起こし方を学ぶようなことだろう。いま、微積分に取り掛かったのは高校の時から背負っている心の借金を返すためというのが主な動機だが、チャート式をペラペラめくって喜んだ北村先生を今も何となく覚えている。これもし北村先生にパソコンとプログラムの本を見せたらどんなに喜ぶだろうと思う。


🄫1999-2023 id:karmen