高校出てたら3Dは出来るという話

 俺にとって高校のラスボスは大学受験の試験問題だったわけだが、その頃の数学の試験というのは普通の問題を出しても受験生が真面目に勉強したら皆満点になってしまうので、対策として幾つかの数学例えば確率と行列や積分三角関数などを組み合わせた応用題を出題して、解けない奴を出すことで生徒に無理やり優劣をつけるという大学側の取り組みがあったらしい。特に高難度のものは天才しか解けないと言われていたが、配点で言うとセンター1000点を100点として後期試験と合わせたときに愚直な勉強で取れる点数でもって数学の天才の取れる点の配分は小さくなるので問題ないとされていた。

 まあ、皆満点の何が悪いのか俺にはサッパリ分からなくなったが、その後の略歴としてゲーセンバイト専門学校ゲーム会社ソフトハウスと来たところで仕事のペースも掴んで暇になり本を読んでいた。そこで感じていた「物足りなさ」は高校でめっちゃ悩んだ数学の問題に比べて社会の仕事が易しすぎると感じていたからだった。

 そこで俺はまず本を手に取ると著者の略歴を見て「東京大学」と書いてある本ばかり買うという遊びを始めた。最初は工学部の畑村洋太郎、次が医学部の和田秀樹。電子辞書などが出来てテレビやマンガが流行り本が売れないと言われていた時代、そんな変な本の集め方をしている俺は俺が知らずとも書店や著者から完全に包囲されていた。

 そうして出た結論のひとつに受験期の数学の評点からたまにしかいないタイプなので、その数学を持ってどんな意味があるのかとか、実技に応用できないかとか、もっと数的思考力でもって生活に当たるべきであるということであった。

 ちなみに「受験勉強をもっかいしろ」と「勉強の基本は丸暗記」とかは読みやすい本を買って乱読する俺にかなり刺さった言葉ではあり、受験をもっかいやって高校の学参を買うと学参の著者は理科なら東京大学ではなく東京理科大学だったりするものだった。

 それでグルグルと同じようなところを彷徨ってきた俺が今やっているのが三角関数であり、その自習に使っているのは難しい参考書ではなく高校の基礎解析の教科書なのである。あらためて読むと「こんなに良い本があったのに何も分かっていなかった」と思う。大学受験が難問で、応用題ばかり気にしていたが、三角関数を極めて何をしたいかというと写像による三次元の平面投影であって、耳慣れた言い方をすると「ポリゴン」を平易なプログラムから自力で実装することを目標とするものだ。

 基礎解析よりは代数幾何のほうが近い気もするが、まあ高校の選択科目だったのもあって手元にある教科書はこれ一冊。一般角からやり直すと、今まで分かっていなかった様々の事が目から鱗が落ちる用に平易な問題に思えてきたのだった。

 大学での数学を考える前に、小学校の算数からお買い物をするお金をしっかり持ったのがバイトして19歳になった頃で、あの欲しかったネオジオが買える!みたいのから、ご飯はマクドナルドやとんかつ屋で1000円出せばお釣りがくる金銭感覚。

 それをご飯とおかずならスーパーで弁当を買う方が同じような栄養価で安いし、パンならバターが付いている菓子パンが得だし、それに680円とか言う値段を考えるのも3ケタで680と考えているのではなく筆算で上の桁6に端数が付いて7に切り上げして0をふたつ付けて100円玉7枚で20円お釣りがくるという風に二桁くらいの数的思考の積み重ねでもって暮らしていて、小麦で考えると10円くらいの量のイタリアンに普通に680円払ってしまっている事にも全く自覚は無かった。

 それで近頃は万歩計を頭に内蔵しようとして、まあその前には懐かしい単語で言うとOLのおばちゃんが「電子辞書って賢いわよねぇ。ワタシ、アレが頭に入ったらなぁとか思うんですよ」「でも液晶とキーボード取ったらマイクロチップなわけで入るかも知れませんよ?」「まさか!」とやっていたのだが、電卓でも8ケタくらいから商品なわけで、まず100くらいまでしか数え上げをしたことのない頭を千の桁まで数え続けるように改造して、音韻で「ごせんはっぴゃくろくじゅうご」と読み上げながら頭の中には5865というアラビア数字を思い描き、数え上げると小学校の筆算で下の桁から繰り上げるので上の桁から読み上げると繰り上がりが若干遅いことなどが今の問題。

 まあ話だけだと眉唾物だと思って読み流してもらっても良いんですけど、プレステで毎日遊んでいたのは今までの日記の通りで、将棋指しが頭の中に盤を持つという風にストリートファイター系でも頭の中でケンが波動拳を打ってガイルがソニックで打ち消して裏拳を決めるというシミュレーションは出来て、それがストIIからガンダム連ジや地球防衛軍とか、一般的な流行ゲームだとバイオハザードとかメタルギアソリッドになるんだけど、3Dのゲームは最初は慣れずに難しかったけど、これも頭の中に3Dが出来て行って、毎日遊んで思い出してしているうちに頭の中でポリゴンのように3Dがクルクル回り出すんですよ。それから筋力とか持久力でダメだったスポーツが、少なくとも投擲能力はいつの間にか人並み以上になっていたというのはスポッチャとかで実感できたことです。

 それで目下三角関数。教科書には平易に405℃とか出て来て、普通に考えたら円周は360℃なので405℃は円周を引いて45℃の引っ掛け問題くらいにしか思ってなかったんですけど、エンジンの回転とかで考えると、1周と45℃回っているということで、そのへんの一般角の読み込みからそれが度ではなくラジアンになった時の数的思考力がまだまだだから3Dプログラムが書きこなせないんだろうなと思うわけです。

 まあ畑村先生も和田先生も教職なので自信を付けるために数学をもっと伸ばせとプッシュしてくださっただけで、実際のところプレステを作った久夛良木さんの足元にも及ばないような数学力だとは思うのですが、信じてやってよかったと思う所もあります。


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