久しぶりに図書館に行ってきた

 図書館に行ってきた。

 俺は子供の頃から親が西友で買ってきた服を着ていて、まあ当時のデパートの服というと同じ服が5着から10着ずつ売られていて、たまに全く同じ服を着ている人とでくわした。不気味ではあるが同じものが売られているので当然ではある。しかし、近所のおばあさんに行き過ぎた人がいて、俺が街で目立っていた頃に毎回全く同じ服を息子に着せる人がいた。

 それはそれであるが、俺と同じ服という意味で俺もファッションの移り変わりはあるが、昔持っていた服と似たようなのを着ている男と女と子供というようなのをたくさん見ていく図書館への道中は少し気味の悪いものである。もちろんセレクトショップなどで服を買ったとて、店にはそれが1着しかなくとも他の店に当然同じ服が1着ずつ届いているので、バンドマンの真似事をしていた20代から30代は普通に私服はカジュアルを選ぶのだが、当然ありきたりのデザインで、しかし俺の30代のカジュアルをバンドの人がジャケ写に被せたというのは自意識過剰かもだが、バンドと被ってバンドに被せた人と俺の服が似ていることも摂理であり、もしかすると近所の西友に5着届いていた頃よりも方々に1着ずつ服が送られてバンドと被った方が被った人との遭遇率は高いのかもしれないなぁ、とか思って気持ちわりぃと思って図書館に着いた。

 ちなみに昼はスーパーに買い出しに行ったが、220歩ほどで着くことが分かった。図書館までは服の事を考えてそのことを忘れていて何歩か数えていないが、歩数をちゃんと意識して数えていれば服被りの気持ち悪さからは気を逸らせたかもだ。さらに言うとタバコを吸いながら庭というか小道を徒歩で往復する習慣があって、タバコが5分1歩1秒とすると300歩でタバコひと箱20本ほど1日に吸うのでタバコだけで6000歩も歩いている計算になる。これで家の敷地から出ずに運動量が担保され、お医者さんにも褒めてもらえる。歩数を自分で実際に数えるのは1800歩くらいで嫌になったというか気が逸れて忘れた。概算で考えて他の事をしようと思ったからだ。

 図書館では新刊案内を見てから機械学習構造力学、建築構造、工業デザインなどの本をパラパラっと読んでDIYのコーナーに行くも手が出ず、帰り道に人体の本も見ようと思って忘れていたなぁと思い出すなどした。知らない事を新しい知識として得る一方で、図書館の他の人に自分の興味ある本を手に取る姿がスパイされて、1割の補完のために9割が漏洩している感覚にもなる。国家試験を通って資格も持っているし他のやつには負けないみたいな自信は同じ勉強をするライバルにアッサリと出し抜かれる危険性も秘めているのだ。狙われているような感覚がいつもあるんだよな。

 それは図書館の利用も同じことで、読みたい本をアマゾンで買うとアマゾンに筒抜けになるし、図書館の蔵書検索を使うと無かったなぁ、と思った本が入っていてその近くの本棚に類書が並び、本で勉強するという意味ではどの本も類書で8割がた同じような内容が記されていて、同じような落としどころに終始している。必然的に同じ界隈の業界人となると同じ専門用語で話すから疎通性があるという話で、全くもってなぞる以外の追い抜き方があると後は追われるし並ぶと何かで出し抜かれることもあるだろう。

 個性と公平は相反するベクトルで、個性的であらんとするものに同等でありたいと真似るものが増える。流行とはそういう原理で出来ていくものなのかもしれない。ある程度は商業的に仕組まれている部分もあるだろう。機械学習も将棋で出て来て優勝を機にメチャメチャ流行って今からやると後追いも良いところだしなぁ。

 その意味では構造なんて関西圏でユニオンシステムの8人くらいしか専門的に取り扱っているのはいないんじゃないかと思ったけど、今から戻って3人の後輩がその仕事を20年続けていたら離職していなかったらもはや今更だろうなみたいな感覚はある。どのみち俺は構造解析でも画面I/Oとプリンター制御が担当だったし、門外漢ではある。一級建築士ではなく情報処理技術者二種だからね。

 あまりにも手垢のついた本を読むのはそれそれで共通認識を作る土台でありコミュニケーションの基礎としては良くとも、その知識でもって仕事を得るには既にスタートから出遅れている感じもするが、読むだけ読んで得心して知識欲を満たし何もしない人というのも読書愛好家にめっちゃ多いのも事実。興味のある人と話を合わせたいのだ。

 独りで歩いて帰ると独り身の女性がくっついたり離れたりふらふらとして誘われている感覚にもなったがお断りすると老人が前をふらふらと進路妨害してきて、若い女性がケータイをカメラに郡山城を撮影していて、そこにふらふらと老婆が来て手を引く。

 まあ20代を振り返ると俺は本の中の世界に居たわけだが、本は本として図書館やら市役所とかの建築を見ると近代的になったなぁ、現代だなぁとは思うが住人は年寄りが多い。何の仕事しようかなぁと思いながらブログを書いていて、そういえば工業デザインは読んだけどウェブデザインなんて本は無かったかもなぁ、と思うのであった。

 図書館の本や風景を撮影するのもどうよと思うので家の本棚にあったTRIZ入門の写真でも載せとく。この本は26年前の初版から俺の持っているのは2000年の四版だが、当時の東大工学部の教科書であったらしい。

 大卒初任給22万高卒18万の時代からバブル崩壊後は「大卒なんて」と揶揄される時代もあったらしいが、まあ工学とかの実学から大学は遊び人というイメージを払拭して懸命に働いた人々によって大卒のイメージも変わったのだろうが、まあ紋切型に学歴で斬って個々人の思想や仕事に触れないというのがそもそも時代と合わないのだろう。

 それでも俺は良く「専門」のレッテルを貼られていっそ言う人との付き合いを遮断するとぼっちになってしまったのである。反対にもっと情報処理らしくコンピュータ特化型の人間になった方がイメージと合致して付き合いやすいのかもだが、タワー型自作ではなくノート型パソコンを使うタイプの人間であることは付記しておきます。


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