しつこく、しつこく

 ゲーセン業界では常識的な事でも、ストリートファイターIIの台がハーネスの繋ぎ方と設定によって二台で一組の対になっていて、誰かがそのうちの一台で対コンピュータゲームをしているときにもう一方の台に硬貨を入れてゲームを始めると人間対人間になり、勝った方がその後のコンピュータ対戦の継続権を得て、負けた方はゲームオーバーになるということを知らない人が恐らく99%だと思うのだが、今年知ってくれる人が増えたと思う。

 それを分かっていない人からすると、店から店に移動してゲームをするのもひとり用のパチスロ台が出とか出ないとか言って店を変える行為に見えるのかもだが、そうではなく特定の店の常連客の対戦レベルを基準にして、ちょうどいい相手のいる店に移動してそこのボスに入門しているか、道場破りのようなことをしているか、愚連隊を結成しているか、またはすいている店でコンピュータ対戦を鬼の居ぬ間の洗濯としているか。

 俺はこれが分かっていない人と話をしているということが気付けずに、頑なに

「あんなもん相手がいるのか!コンピュータとひとりでするもんやろ!家でせい!」

という風に家庭用でのひとりプレイに押し込まれたのだが、もうじき45歳というところまで10年くらいひとりでやってちゃんと話すべきだったのではないかと思っている。ただ、商店街の人を店からどかして通信対戦台の実物を見せるという意味では駄菓子屋の兄ちゃんの方が頑張っていたが、誰も見にも来なかった。唯一、高校の時に塾をサボってゲーセンにいたときだけ塾から親に電話がかかって親がゲーセンに来たことがあるだけ。

 家族は知らないかもだが、静かな朝の早くから市場に行くのに起きたりしている料理屋が俺が部屋でゲームをしているのをずっと音で聞いて、何度も何度もしていることを知ってくれている。ギターの稽古もそうで、商店街は狭く、ウチは料理屋と音でつながっているのだ。反対にお孫さんの泣き声も俺の部屋に入るので、俺の家族より音同士では仲が良いかもしれない。

 その意味では、通信対戦だけではなくゲーセンはシューティングやビートマニア系とも音でつながっている。ほぼすべての他ゲーマーは「何故ワンコインですぐ終わる通信対戦をわざわざするのか」というところに疑問を持っている。

 それは無自覚に勝つときはワンコインで十連勝以上して長持ち勝ち組に思えていても、負けているときに連コインして途方もない額を使っていた、それがゲーセンの客養分なので常連として仲間であっても場代がいる意味では出資者であり止められない。

 自分で分かって辞めたら、店から格闘ゲームが無くなってゆくのをネットの店舗広告などで知りながら、それでも静観して家でゲームをするその練習の出口が無いわけで。


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