ぐるぐる

「頭の回転が速い」という言葉があるが、速くても回転では意味がない気がする。

ただまあ、相手が1手しか読めないでグルグル回っていれば、例えばジャンケンでまずグーを出し、結果如何にしてグーに勝つパーを次に出してしまう。幼稚園行くか行かないかくらいで、ジャンケンを覚えたての子はそういうことある。サンプルは少ないが、親戚に小さい子供が出来て遊んでみた結果ほぼそれで3回から5回くらい勝てて表情を見ていると負け続けて「ひらめいた!」という顔をして、今度は2手読んで相手が出したグーには負けるチョキを出す。顔を見ていたら何となくわかる。そうして、顔色を見ながらジャンケンに10連勝くらいすると真っ青になって、高校行くくらいまで俺に何らかの畏れを抱いていたようだ。

しかし、その姉兄からジャンケンを教わったという末っ子はだいぶジャンケンを覚えてから俺と会ったので、俺としては初めからだが、相当にひねくれた手を出す子だった。

数学で確率を覚えてサイコロふたつ7が出やすいとか、トランプとか、ジャンケンとか、そんなの当たり前だし結局のところ役に立たないと思う子は、自然に物を考える中でそれ以上の要因を見出しているのだろうと思う。それすら知らないものからは、案外と負けにくくなる有難い教えなのだ。

そして、特にストリートファイター格闘ゲームでもマジックザギャザリングでも、ゲームを取り巻く要素が複雑ってか、昨今のゲーム事情がもっと複雑か反対に課金ソシャゲで簡単なのかはさておき、俺がそれまでにしてきたゲームの中では複雑で、考えているようで結局また元の位置に戻っている、堂々巡りからなかなか抜け出せなかった。

ただ、俺の親父はクルマが趣味で家族団欒のあとテレビでF1レースを見ていた。子供の頃の俺にはティースクエアの音楽と古舘伊知郎の実況しか分からなかっらが、セナがすごい、スポンサーはタバコ屋のマルボロだ、そしてホンダもすごい。くらいの感想だった。あの頃からグルグル回るだけでも速ければそれでいいみたいな思想が根底に出来たのかもしれない。

人生の目的が見つからない人のためにレースやゲームはあるのかも知れないがな。幼稚園から既に仕事がなくてジャンケンで遊んでいるというのも社会のひとつの現実かも知れないし。


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