格闘ゲームの流行期はもっぱら通信対戦だった俺ですが近頃コンピュータとも。
思えばストIIの当時の攻略はフローチャートで「こう来たらこう」という流れでモノを考えていました。中足払いを出したら相手がジャンプする、ジャンプしたらサマー。ヨガファイヤーを出したら相手がジャンプする、ジャンプしたら中キックという具合に。
しかし考えてみれば今持論にしている弾ジャンケン理論、すなわち意思同時決定のゲームであるから飛び道具、ジャンプからコンボ、待って対空の三すくみを絶え間なく繰り返すゲームという世界観というかゲーム観の構築は、ストIIターボくらいで直感的に強いプレイヤーはそうしていたと思うんですよね。曰く「読み合い」で、何を読み合っているのかは良くわからないけどバクチより理論派と言ってリスキーな選択を嫌うガイルナッシュ系使いになって行きました。ちなみにストIIからのメインはダルシム。だけどストIIXの流行が一時期終わってヴァンパイアに言って離れたりまたやったりする内にガイルになりました。
そしてガイルで弾無しキャラには滅法強いのですが、リュウケン系に悩まされ、待ったら波動拳、飛んだら昇竜拳、弾を打ったら飛ばれて、その時の通常技対空が絶対ではない。そう悩んだ時にガイルのソニックブームはリスクが小さいと思っていたけど、リュウケンで波動拳を打ったら飛び込まれてスキにコンボというのと、ガイルのソニックブームも読まれて飛び越されるとスキが短くガードは出来るけど対空は間に合わず、そこから投げハメに来られるとガイルのほうが投げ間合いは短いので、結局はリュウケンの波動拳くらい読まれないように悟られないように1発ずつが読み合いであると分かって、時々ソニックを打たずに待ってサマーを狙うと、ストII初期の普通の待ちがいると大して変わらない戦い方になって、それでまた勝てた。
この辺のことはバーチャファイターの初代が出来たころにセガの鈴木裕さんはおそらく分かっていて、アキラの猛虎硬爬山が波動拳で、ローキック、投げ、中段ガード下段ガードなどの強制ジャンケンみたいなゲーム性はストIIの大量の無駄技で遊ぶ感じをアーケードゲームとして完成させていたと思うんですよね。
んでバーチャ2の頃はこのジャンケンとフレーム遷移が分からず、コインを入れて遊んでみたけど何が面白いのかゲーム性は何処にあるのかみたいに悩んだもの。ゲーメスト中心だったのでキャサ夫のカゲ攻略だけで、あの頃にファミ通の渋谷洋一を読んでいたらまた違ったかも。そして、バーチャ4からサラリーマンの資金力でバーチャデビューして、ゲーセンで三段までPS2で覇王まで遊んだ。
ここからセガサターンのバーチャ2に巻き戻ってみて、確かに当時のコンピュータはある種のフローチャート的な行動、例えば立ちパンチを空振ったらしゃがんでスカして投げてくるという風に出来ているけど、じゃあ相手のボッ立ちに立ちパンチは絶対ダメかと言うとカウンターでパンチが当たることもあり、乱数決定の問題で運ゲーと呼んでいいかどうかはともかく、コンピュータとジャンケンできるようになっている。
そう考えてスーファミのストIIターボをもういちど遊んでみると、春麗の立ち中パンチが近距離でも追突拳のグラフィックでコンボが出来ないとか、そういう細かいところの差異ではなく、弾打つか、飛ぶか、待つかみたいなところで相手コンピュータは充分に多彩な動きで仕掛けてきて、それと遊びこむだけでももっと上達できたかもなと。
そう考えるとゲーセンで顔を覚えた誰に勝った誰に負けた勝率は段位はという感じではなく、もっと考えて戦うその考え方がフローチャート的なものでは無く、対戦しながら相手の癖を暴いて行く対戦ならではと思っていた楽しみがコンピュータ相手でも充分に思えた。
まあ、その間に俺は20年プログラマーをしていて人間科学よりコンピュータ科学が案外面白かったみたいなのも考慮するべきだが、バーチャ4からカードにパーソナルデータが入るVFネットが始まり、十段の人間が待って全てをガード仕切ろうとして、中段ガード率90%下段ガード率70%とか統計的な結果が集積されて、それでバーチャ5のクエストモードのブンブン丸とか調布KKと当たってみて、読み合いではないけどコンピュータなら完全後出しでジャンケン全ガード全投げ抜け出来るみたいな諦め感ではなく、人が全対応しようとして結果70%とか90%だったことを、コンピュータに乱数で先に成否を決めて後出しで70%とか90%成功させるようにしたものを相手に戦っていると、ちょうどその相手と戦っているようである。
これは実は理論としては低スペックの時代からSNKがネオジオでやろうとしてくたことと全く同じで、当時はスペックの頭打ちから抜け穴的なハメがあったけど、ハメ勝つのではなく駆け引きしようとするとネオジオ系の格闘ゲームでも同じように遊べる。
そんなわけで、近頃はバーチャ5を遊びながら色々の納得感があり、ジャンケン運ゲーではあるけど、研鑽して少しでも強くなりたいと思うと同時に、純然なジャンケンとして捉えた時の正攻法は何があるかゲーム理論的に研究するには材料不足かなと何かこう取っ掛かりを探している。相手の癖をひとりひとり覚えていくというのも方法としては正しく、そこで閃きを得てゲームを続ける内に思考が変化する対人のほうが面白いのも分かるが、コンピュータで乱数でもその表現として充分とは言えないものの不満が出るほどでもない。
まあ賭けなし麻雀をゲーム機とかパソコンで5年くらい遊んでかなり極まったと思うものの、そこから先を目指して出来ることも無数にあるのでそれはまだ極まったとは言えず、平易な努力と論考である程度煮詰まったという話。
解けるゲームを消化するより、答えがあるのか無いのかすら分からないところでも挑戦を続けて新しい境地に入っていくすごい人にネットで簡単に交流できる時代になった。
俺もなにか頑張らなきゃなと思うけど、それがバーチャファイターでも良いんじゃないかと。