ブログに書いたMTG記事のうち最も読まれたものは「クロックパーミッション」について。用語の意味や定義が良くわからんから解説が読まれたのか、それとも貼り付けたデッキ写真が人の心にとまったか。
今までマナカーブを起点に「よく回るデッキ」を追求してきた。エクセルとかで計算もしたし、実際回り勝って相手が「こんな弱いカードに何故負けた?」と思ったか、不思議そうだった。それは確率で軽いデッキがよく回るという当たり前と、強いカードはだいたいコストが高いので、相手の事故は起こるべくして起こり、そこにこちら回れば弱いカードでも勝てるという話で、この戦略の欠陥は「そもそもゲームをする気がない」ということだと思う。
対して、ウィニーからクロックパーミッションになると、展開してから除去を打ち消すわけで「やられた」という感覚が相手に残る。
普通のパーミッションは対抗呪文系で相手の技を打ち消してから、マナがたまったら大型クリーチャーで逆転する。
そして今回のデッキは何故誰もやらないのか不思議というか、むしろやっている人は恐らくいるけれど優勝デッキとかカバレージに上がらない「軽量から初めて大型で終わる普通のデッキ」である。ジャンル的にはウィニーバーンだが、そこに中量級。それと引き増と手札破壊などのハンドアドバンテージを意識したカードを入れてみた。
デッキにこれといった狙いの局面のある戦略ではないが、ひとつ一つのカードがコスト対効果の高いと思うものを選んでいる。レガシーはおろかスタンダード級でもエース級のカードではないかもだが、リミテッドで集めたそれぞれのエキスパンションで「これは強そう」と思ったカードを多色ランドの力でひとつのデッキに寄せてみた。
特に大きなヒントになったのは「機知の戦い」が流行ったとき。参考に書いておくと「唱えた次のターンにデッキが200枚以上あったら勝ちになる」というとんでもないカードで、60枚以上がルールの中で確率的に枚数が少ないほうが狙いのカードが引きやすいゲームで、敢えて240枚とかのデッキを組んで、そのカードに賭けるのが流行った。
その時にカバレージで遊びで入れた1マナ1/1の「さまよえるもの」が1体で10点近く与えたという実戦ログが残されたのだ。それがもし1マナ1/1でなく1マナ2/1のサバンナライオンもとい先兵の精鋭なら、勝っている。つまりクロックパーミッションのクリーチャーは白騎士ではなく極端に言って先兵の精鋭に残りはカウンターでも勝つ可能性あるよなと。
回るデッキが強いという持論から、そこまでズブズブの展開になるなら、ウィニー部分は2点クロックが2体の4点クロックで十分にズブズブを制するわけだし、他はもうちょっと欲張って土地引きすぎの時でも強いカードを入れたら強いんじゃないと。
戦略を立てて狙い通りに行けば勝ち、外れれば負けるのではなく色々なデュエルの結果、最低限勝つのに運をつかめる十分なカードとは何かを考えて普通のデッキになった。
俺は日本語四版からミラージュあたりでカードを買い始めたが、三版以前に飽きてやめた人のデッキが大体みんな軽量ビートだったと記憶している。その上で赤デッキにシヴ山のドラゴンは是か非か、白ウィニーにセラの天使は是か非かというのが当時のプロというか高ポイントランカーの話題というか悩みだった。
記事の締めくくりとしてはかなりなおざりだが「変わらないくらいの所なら、少しでも強いほうを無理やり探すのではなくゲームを楽しめるほうに振るのがいいんじゃね?」というところ。事故もまたMTGのあるあるで、誰かがひとり事故ってゲームできない状態で誰かが回って別の卓で優勝者が決まる。
振り返ったら、トップ卓も経験したやんという。雑誌記事を書くには大会優勝とかの肩書が必要で、勝ったら何か本に乗るというのが優勝賞金以上に物書きを目指すはしくれとして憧れだったんだろうなと振り返るわけです。
でもね、トップとの差も何度も考えて、ある部分もあるけど、彼らが書いていることが雑誌社の編集で正論化されているだけで、普通に遊んでて物とか書かない兄ちゃんなのよ。そのへんの胸のつかえが取れたら、俺は俺的にはそろそろ満足です。