最近、餓狼伝説スペシャルのスーファミ版でハイスコアをやり始めた。
俺は子供の頃には歌手になりたかったが、その夢は幼いうちにあきらめてしまって、多分普通の範疇に収まっているだろうみたいなところはあった。母親が「そんなものなれるわけないわよ」って言うような性格だったのもあると思う。
その普通の範疇に入るためには実は厳しい受験戦争があり、中学の時に足を引っ張るためだろうか悪友の誘いで行ったゲーセンのストリートファイターIIにハマった。高校までそれ一筋に熱中してしまい、93年だから高1かな。国技館まで行った。
何も夢を持てないわけでもなく、ミスチルとかウォークマンで聴いて夢に見ていたが、ゲームで強いなら自分でも日本一が夢では無いかもみたいなことは思うようになった。
それからの武勇伝とか失敗談は割愛して、日本一とかでも一度なるだけではなく何度もなるくらいでようやくマイナスポーツ選手くらいという業界の規模を知ったところで、対戦ではなくひとりで出来る取り組みとしてハイスコアの全国一位を狙ったりもする。
高校の時にも他校の同学年でスコアをやって「どう計算しても出るわけの無いスコアが雑誌に載っていて嘘だと思う」という話はあった。しかしゲームには隠しアイテムやバグ技があって「どう計算しても出ない」は彼の傲慢だとその時は思った。
そして対戦で強者を求め旅行をする間に訪れたゲーセンで「スコアをやっている人」を何度か見かけた。スコアを見たわけではなく、どう見ても上手く行っているプレイで、自分より上手いと思っているものを100万点以上出るゲームの数百点の失点でわざと死ぬ「捨てゲー」をして、またコインを入れるのだ。
俺は段々と雑誌のハイスコア欄をどこかにそんな現実があると確信するようになり、スコアにのめりこんだ。
今になって分かるのは、到底信じられないようなスコアが出るゲームはあるし、その競争も実際にあるのだが、数あるゲームのハイスコアが隈なくそうであるとも限らず人気のないゲームのスコアが東京に無数にある集計店で子供のイタズラが見過ごされて雑誌に入ってしまったケースを吐露の形で読まされたこともあって。
信じられなかった人の中から嘘だと決めつけてイタズラしようとする人が出て、それを信じてしまってそのスコアを目指すところから新しいバグ技が見つかるという風に、やりこみとハッタリと嘘と信念が入り乱れて、スコア業界として動いている。
しかし、ハイスコア全国一位を狙っている間に「ここまでは出来ない」と諦めたゲームも幾つかある。それは歌手の夢を思い出して32歳からギターを再開して、その後にユーチューバーという形で出会ったギタリストの腕前に練習して出来るようになる分量と、自分の日々の練習以上に自分より上手い人も練習を続けている現実にあきらめの念が出てきたのだ。
気づけば、自分も知ってくれている人は知ってくれているギターの腕になってはいるが、その道にもっと達人がいることも知っている。ゲームはその意味ではスコアの天井があるので頑張れば並ぶとことか超えるとこ行けるかもなと思うものもある。テレビでもともと芸能人として活躍している人がギネスの変なスコア抜くのと同じだろう。
ただ、そのスコアが全部本当かも知れないと思っていた時は、自分のスコアがその10分の1くらいで終わってしまう時に比較して100点満点の学校のテストで10点くらいしか取れていないようなみじめな気持ちでゲームを終えることは良くあった。
小学校の時を思い出すと算数とか、中学受験を目指していた俺はテストを始めの10分ほどで終えてしまい、残りの皆が終えるまで退屈で200点満点くらいくれたらいいのにと思っていた。しかしそれでも塾のテストは難しく、成績順でBクラスだった。それはふたつめの塾で、最初の塾では宿題を全てサボっても成績トップになってしまい、その塾の先生が示しが付かないとして先生からいじめを受けていたのもあった。
それを合わせて考えると、スコアが全国一位の10分の1でも小学校の100点満点くらいでいくと100点満点以上で、実際に自分が通ったゲーセンで自分よりスコアが高いのを見たことなど皆無だからだ。そして件のトップが嘘スコアだとして、初月集計1位くらいが到底出ないけどもし本当だとしたら、3分の1くらいのスコアは出ている計算になる。
それは競プロや就活サイトのスコアでも自分はプログラマーとして偏差値48くらいで上位1割にいるらしい。平均が偏差値50だが、正規分布に見える山が大学受験がセンター全教科で1000点くらいなのに1万点くらい何かで加算されているところで競い合っている人がいて、一般的な統計学の指標が役に立たなくなっているのだ。
ゲームのスコアほど山の低い業界では無いだろうし、かといってギターのように自分でもやるからすごいのが分かるって比較の対象にもならない。何をやってスコアが出ているのか測り方がどんなだかも知らないが、それでも自分が上位1割で信じられない高額の求人が来て嘘か誠かと勘繰るのだが、昔に外注で仕事をしたゲーム会社から正社員の求人が来ていてその給与水準が外注より良い値段だが競合で来る幾多の求人の7割程度の額だったりもする。まあ、ありていに言って会社にいたころの3~4倍の給料の求人が普通に毎週来るのだ。
これはバブルだと思う。求人は首都圏ばかりで、銀行金利は安いが株式の配当金利がバブル期と同水準で正社員給与ではなく期間工単価でみるとバブル期の倍くらいの値段が付いている。スコアをやっていると、数字に少し強くなったかもしれない。
金利以外には不動産の空き家率とかも給料水準と連動していて、働いて家を買ってもらわないと家賃経営などが回らないのだろう。俺は親父の持ち家の二階に住んでいる。
スコアで行くと、インカム率の良いストIIXは家庭用移植版がなかなか発売されず、やりたい奴はゲーセンでやるしかない時期がかなり長く続いたのを連想する。しかし30年経ってみると対戦が過熱しての短期集中的なインカムより故障率とか継続インカム率でみると餓狼伝説スペシャルのほうが儲かるゲームだったのだろうってか、餓狼スペシャルIIXみたいなものは出なかったわけで。リアルバウト餓狼とかは出たけど芳しくはなかったわけで。
19の時は高卒だったがその時なりにゲーセン店員としてインカムを研究しようとしたが、数値的判断と自分の好みが切り分けられず、店で目で見てお客さんが楽しそうに遊んでいるかみたいなものを稼働の理由にしていたが、社長や営業からはもっと数的根拠とかを示せるようにならないといけないって言われてた。
それから専門学校に通ってコンピュータソフトを学ぶのだが、簿記やワープロは退屈で映像学科で映画監督とか特技監督みたいになる夢を見ていた。
しかしそれが今は皮肉にもYouTubeやTikTokなど動画の時代が来て活躍している人がいるのに、今更に数的指標でゲームを斬っているのだ。