NHK新アニメ「映像研には手を出すな」第1話楽しませてもらいました。
ところでこのブログ、毎日書いている割に新着記事が読んでくださる方は少なく、過去ログをすべて残しているものがグーグルやヤフーなどの検索エンジンに引っかかって、当たった人が流し読みして帰ってゆくというのが一般的な読まれ方ですけど。
何故か2020年になっても1993年の餓狼伝説スペシャルの記事がいくつもトップヒットに上がってくるわけです。なぜ餓狼伝説スペシャルなのか。ゲーセン店員時代に店に入れるゲームを経営者に説明する時に、ストリートファイターEXが出た頃に俺はあのゲームの面白さが分からず、クリエーターの岡本吉起さんなどはストIIのファンは頭にお団子があるチャイナドレスという記号だけで春麗だと分かるから、ゲームのキャラは絵ではなく記号で充分、みたいな話をされていて、実際ストEXもインカムはそこそこあったらしいんですけど、自分の店には乱立する新作格闘ゲームでなく固定客のいるストIIXや餓狼スペシャルを店から外してはいけないという説得をしていたんですよね。
それで経営者だってゲーム会社からゲームを仕入れているわけだから「なぜストEXでなくストIIXや餓狼スペシャルなのか、理由が明確に説明できたらそういう新作をオファーできる」ということで色々と訊かれたんですけど、当時若干19歳の俺ではそこまで理解が及ばず、自分も好きだしお客さんも好きだしってことは単純には言えずにあれこれとこじつけて説明してたような。
今思うと、ひとつには「そのゲーム単体だけでキャラが分かる」だと思うんですね。ストIIXのゲーム中核だけを見ているプレイヤーには荒いポリゴンモデルでもキャラが分かって対戦などの駆け引きに焦点が当たっているとしても、店に置かれるゲームがストEXだけになってしまったら、はじめてのお客さんには何のゲームか分からない。それでストIVくらいの画素まで来て、ようやくポリゴンストIIが再び市民権を得た。まあ、後になってからでは誰でも分かるんですけどね。
そしてふたつ目には「対戦キャラバランスで五分に近いカードが多く、大勢のお客さんが来てもそれぞれに楽しめる」コレに尽きると思います。ゲームをひとり用中心で設定難度でインカムを計測しているオペレータに対して、格闘ゲームは貸し台制の全自動卓を置いた雀荘みたいなものだったんですよね。ゲームは既にストIIXと餓狼スペシャルで接客業みたいなものが回っていて、お客さんは新しいゲームよりも作り込まれた1本を掘り下げたいというニーズに変わってきていたんですよ。まあ、マニア間ではやり尽くされて新作も待たれていたのも分かるけど、仕事や学業の傍らで帰り道に寄って遊ぶゲーセンで対戦をする中でルールがコロコロ変わるのは人がついていけないって話ですよ。その点だけで行くとストEXもルールは守っていたから二番目の条件は満たしているんですけど。
そういう俺もオペレーターから一般企業に就職して、お金をそこそこ持った時に家庭用を買って家で練習してゲーセンで勝ちまくるようになったら、干されたときがあるんですよね。仕事をしてお金を稼いでゲーセンに来ているからお客様気分で、それでいて負けたほうが払うルールだからオラオラと勝ちまくって、集まった人みんなにお礼なのかお詫びなのかカネ払えってなら払ってやるからとゲーセンの近所の飲食店にゾロゾロ入って全員分おごることで「払ってやっただろ」みたいな感じだった。陰口を叩かれまくっていたらしいが、当時はそんなんで、とにかくアイツをどうにかしろと問題になった。
実はコレマジックザギャザリングのカードゲーム業界でも同じことが起こっていて、格闘ゲームではとにかく「もっと強いやつを作ってやっつけろ」となったけど、ことMTG業界ではゲーセンほど事は大きくならずに、誰かの家で泊りがけで遊んで日曜日の朝にみんなで戦隊モノを見るところからやり直そうと。5人のキャラだろと。
当時、俺は新しいセットが出るたびに強い色に乗り換えていちばんを取りたがっていたけど、プロプレイヤーでもショップでみんなで遊ぶ時はそれを我慢してわざと負けるでなく不人気の色を取る。俺はオッサンヲタで赤緑の「はかるちゃん」が赤緑ではかてないよとこぼしているところで「勝てますって!」と言ってドラフトで赤緑でトップを取って戦略について説教してしまったんですね。そこでグループの中のプロの人が本気出して、次のゲームは白黒ウィニー対得意の赤青で負けた。そのとき、あっ、この人強かったんだと思って話を聞いてみると、はかるちゃんはMTGもやってるけど軍オタだったりスパロボ好きだったりで、そういうので一緒に遊ぼうよってなったんですよね。
それから、色々と考えながら長い月日が経ったんですけど、格闘ゲームでもコミュニティが出来上がった状態で固定客が「来てくれるもの」という目線から、その維持と新規顧客をコミュニティに入る人みたいな捉え方で当時は見ていたなと思うんです。
それはそれで、ネットやケータイも駆使してゲーマーコミュは成長を続け、同じゲームで遊ぶグループが力を持っていっているとは思うんですけど、ゲーセンにふらっと入って置いてあるゲームを面白そうだと思って遊ぶ。それも1回300円くらいで満足できるみたいなお客さんに来てもらえるかとかも考えると、まだまだ狭い範囲しか見られてなかったなと思うんですよね。
ただ、それを踏まえてもウェブを検索して俺のブログの餓狼スペシャルの記事にアクセスがあることは立証されているので、どこかの店に餓狼スペシャルは置くべきだとも考えているんですよね。そこはもう、新企画で新台で顧客獲得を目指すのではなく古い筐体のリストアでも充分間に合ってるんじゃないかって気はしますよね。コスト的にも。