俺は中学からストIIにハマっていたが、同級生は餓狼2と龍虎の拳でネオジオに流れ、ヴァンパイアなど後続のカプコン系に居座った俺は「アイツらは逃げた」と強気でいた。
しかし、「三十六計逃げるに如かず」逃げるが勝ちなら逃がした俺は負けなのだろう。人を捕まえてゲーセン台にカネを振り込ませてナンボ「ゲーセン対戦でカネを入れさせてグルの店主にパソコンゲームのコピーをもらう」という方法で同級生の何人かは儲けていたようだ。勝てなくなったからゲームを変え、深追いはしなかったがカプコン系なら勝てると相手もいないのに勝手にひとり用でカネを入れてしまった。
これは19歳でゲーセンバイトした頃には適度にやっていたが、大阪の強い人に混ざるうちにガチで相手しても負かしてくれる相手に慣れ、地元のお客さんがすっかりいなくなるまで勝ってしまった、修羅道を求めて勝ちに飢え逃げられるまで弱いものを負かしたのだろう。
その意味では、ストIVくらいでプロ志望の競争で破れ、何となくだった遊びグループはプロという蜘蛛の糸が垂らされたことで仲間割れを起こし完全に分断した。
それでもゲーセンで負けて釣って勝って稼ぐを細々と続けた奴はパチスロなども含めてゲームばかりしているようで、遠征の旅費とかラーメンなどの外食代も含めて何故かカネを持っている。家がカネモの道楽かもしれないが、続けてやっているのだ(これは同級生ではなくゲーム遠征などで知り合ったガチゲーマーのことな)
ヴァンパイアにも付き合ってくれる人はいたが、勝ち過ぎて逃がしてしまい、しまいにはパチプロなどのヤクザ屋さんが用意した店の回し者みたいなのと対戦を始め結局払わされる格好となった。それは奈良でやっていたように「ハメ無し」でシンパがおり、ちょっとしたグループになっていた。
しかし、ハメるものを罰する権力は無く、それとなく仲間はずれにする程度。それが分からない界隈から「混ぜて欲しいけどルールが分からない」とよく言われた。
それが直近では俺もハメ解禁強キャラ解禁でゲームの結論を急ぐようになった。結局のところ「ハメ無し」というのがルールなわけではなく、お金を払うお客さんの納得度なのだ。フルコンタクトでも強いヤツは強いことに納得しつつも、勝って気持ちの良いところで辞められた。
但し、ハメ無しの頃の弱キャラの伝説のドノヴァンはただの投げハメの普通に人という落としどころになり偶像性は無くなった。オーラを失ったのだ。
その意味では俺はストIIXを滅茶苦茶気持ち悪いところで辞めている。勝って終わると勝ち方を覚えられて大会などの時に良くないと負けて次は勝つだろうという所で止めたのが、精神衛生以上非常によろしくないぶり返しをする。ただ、カネを取る商売として「負かして負かして最後は勝ってスカッとさせてまたやらす」なので気持ち悪さを抱えながらカネはビタ一文出さないようにして、多くのゲーセンから筐体が消えた。
道場破りみたいに勝って相手の道場を潰すなら気持ち良いが、兵糧攻めで飢え死にさせて多分死んでいると思って敵の城まで死体の確認に行けるかみたいな気持ち悪さがカプコン株の上昇やスト6の展開などを見て、気持ち悪いなぁと思っている。
アイツらが逃げたように、俺も逃げて凌いでいる。勝ち負けとは結局のところ修羅道である。だがそれから逸れると言いようもなく気持ち悪いのだ。勉強だって試験の優劣と勝った優位性の気持ち良さに味を占めてする部分があり、負けたものを放っておけないからしている節がある。ただ、勉強する中で勝ち負けに対する考え方は変わった。
自分が逃げれば勝ちと思う以上はアイツらに逃げられてそれは負けという風な自己都合ではなく一貫性の論理で考えられるようになって来ているという事。自分にかけられた枷の幾つもが矛盾していて、分かれば解けるのだが、相手にも同じ枷がハメられるから勝負の土俵に上げられるのだ。
獲物は取らないとカネは取れない。高々ゲーム1回100円か50円という所だが、自分が使った額を考えると、振り込まれたのを丸々もらった額というのは想像に過ぎないのだろうか。
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まだ俺は逃げきれていないのだろうなとも思う。天王星まで逃げたってって奴だ。