「いつもあと少し」は実は少しではない。そう思うと自信がついた。

その昔に棒高跳びだったか、世界新を何度も取るために余裕で世界狙える人がちょっとずつ記録を更新したというような逸話を読んだことがあるが。

マジックザギャザリングの大会で俺はトップ卓には何度か上がっているが、そこであと少しというところ。あの頃欲しかった賞金以上にいまは100万円分くらい古いカードの大人買いをしてでもトップを取りたいと思うこともある。

でも待てよと。ほしいのは本当にその高価なカードなのかと。いや、トップの人の持っている能力で自分に無いものに憧れてのめり込んだだろう。そうだろう、そうすると、トップ卓にいながらいつもあと少しで周りの人間に「もうあとちょっとって、そのくらい運の差だよ」となだめられたが、俺は違うなとどこかで思っていただろ。

そのちょっとは実はちょっとでなく、棒高跳びの話みたいにもうちょっと開いた内在的な差。

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確かに、その差の内でデッキ構築の差が埋まってもシャッフルとプレイングの差はまだあるだろうけど、デッキ構築における様々のジレンマの中で「勝った経験」のあるカードで引いてくるカードが満たされるとそのデッキを持っていると自信になる。

いつも似たようなデッキの決まりきった勝ちパターンからサイドボーディングにも近いような「あと少し」の詰めをずっと悩んでいたけど、マナカーブ理論からもう1歩踏み込んだ期待値カーブとも言える直感や閃きとはまた違った、地道な数学の勉強とかソロバンの練習から足場を固めていった底から湧いてくるかのような力でデッキのあと少しが煮詰まった。

格闘ゲームではデジタルであるがゆえの能力の頭打ちを感じていたけど、トレカの世界ももうそろそろ40枚デッキを90枚の候補から選ぶというゲームのルールでの縛りに頭打ちを感じ始めてる。数学の勉強とか、ソロバンの練習で言うともっと上はいくらでもいるから。

手持ちのカードはそんなに多くはない。机の引き出しというか引き出しが使いにくいので引っ張り出して粗大ごみに出した後に引き出しの位置に自分で組んだ棚。こう言わないと部屋に来た連れが俺のブログを読んで「机の引き出し」と書くと「お前の机引き出しないやんけなんでそんなウソつくねん」と言うのだが普通は机の引き出しと言えば分かる。

その引き出しに入ったメインボード60枚とサイドボード15枚がきっちり入るデッキケースに40枚のデッキと35枚のサイドボードにスターターボックスの小箱2箱分。あとはガラクタ置き場に使いみちがないと判断したカードがスターターボックス5箱分くらいか。

MTGプレイヤーとしては多くないかもだが、流行った時に大人買いしてカウンターポストとかを組んで残りは捨てたというような人と、ちょっとだけ買ってわらしべを狙って高価買取の時期に上手く手放して儲けた人など、まあ人それぞれにカードの量は様々だろうが、今の自分は自分が見てきた人の中で「こじんまり」とした量の中で考えている。

少ないから、やがてその中で答えが煮詰まるだろうと考えてきた。そしてそれは今までブログを書いてきて、その時々に「もうこれ以上はない」と思った時があるのだが、今日またそれを更新することになった。ロウクスの突撃者2体が未だちょっと弱いデッキの穴という感じではあるが、それは俺がゲームを初めて一番最初に一番強いと思ったアーナムジン戦略に相当する緑の4マナ域大型クリーチャーなので残した。

そのパターンでも多くの人に勝ってきたわけだから、そこを辞めてしまうとその多くの人から「あの人が強い」と思われている信仰心のようなものが無くなってしまうと考えたんだ。

求めているものは混沌。今日のMTG。

一昨日に書き始めた記事なのでデッキレシピは昨日のより古い。

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マジックザギャザリングのカードの価値はゲーム内での効果作用で決定されがちだが、その他にも絵柄の芸術性、名前と絵柄と効果の織りなす世界観やユーモア、雑誌等での知名度、印刷数による希少度など、色々な価値の尺度があるだろうと考えるようになってきた。

そして特にリミテッドではセットに含まれる中で類似の効果作用でのセット内希少度のようなものがとても重要で、ドラフトは強いがシールドは微妙だった。そして、今持っているカードの3割ほどは最後に参加したシールドで惜しくも3位に終わった時のシールドパックだ。

とりわけ、スタンダードで使えるカードの流通価格は人気が高騰していると相当に高価で、対して少し古くなると、ほとんどのカードは歴代の最強カードたちに肩を並べるほんのひとにぎり、セットに数種類あるかないかのカードだけが高値で取引され、残りは捨て値であるが、それが俺は本来的なカードの価値だと思っている。

 

テレビゲームを買ってクリアしたら次のを買う、本を読んで読み終わったら次のを買うようにマジックザギャザリングも解けたら次に行きたいのだが、長年にわたってもし追加カードが出ないで環境が硬直しても答えの出ない部分に苛まれることがあって。最近、それに対してアルシュの諦観を持っているのだが、書くと格闘ゲームの話をずっと続けたようになかなかの分量になってしまいそうであり、それは攻略であると共にゲームの解説なしではゲームをしない人の知見になりようがなく、どうやったら要約出来るかと考えると書き出すしかないのである。

 

まず、大半の人はMTGをクリーチャで殴り合うゲームとして遊んでいる。対して、トーナメントプレイヤーの上位陣は少なくともクリーチャーを出されても問題ないか、よりコスパが高く殴り勝てるカードで構成されているかのいずれかである。

 

4版の稲妻の含有率を考えると、400種のカードがあり、コモンは約200種。1パックにコモン11枚(普通)アンコモン3枚(希少)レア1枚(珍品)の封入率なので、レアをコンプリート(全制覇)している人にとって稲妻は有り余るカードであるのだが、稲妻を1枚確実に入手するには20パックは買わないといけない。

このことから、お小遣いの少ない参加者にとって稲妻、剣を鋤に、恐怖などのコストの安いインスタントの単体除去というのは実質上のレアカードなのである。

 

ドラフトに於いて強いというのは、この含有率の高さを俯瞰的に知り、デッキを組んでデュエルをする上で必要性が高いカードを含有率で持って少ないものから順にピックしていくという計算と、ただ強いカードを集めるだけでなく45枚集める過程でマナカーブと勝利プランを描けなければならない。

 

それで俺はスタンダードのカード集めを大人買いで解決して一度だけプロツアー予選を抜け、しかし一度そうなってから自分がトレードをする、ショプでシングルを買うなどするとスパイされたのか、自分と同じデッキを何故か持っている相手と出くわすということに嫌気が差し、ドラフトとシールドしか遊ばなくなったのだが、ドラフトはトーナメントに遊びに行ってサイドイベントで何度か優勝して、シールドだけはなかなか勝てなかったが、6パックでレアのドラゴンが2種入っているダブルドラゴンデッキを引き当て、それで3位だったので1位の夢を見ながらもそこで人生のマジックザギャザリング休憩時間に入っていた。

 

強いパックを引くと、問題はスタンダードととても似通ってくる。そんな事自体が滅多のないのだが、MTG仲間と酒の席で「シールドでドラゴンを2枚ひいいたら2枚とも入れるべきか1枚切るべきか」というようなことで熱論になった。

 

最近の持論では単色に於いてマナカーブは重要な概念で、多色の引き合わせは確率だけで考えると単色に巻き戻る。しかし多色のメリットは単色では対処できない苦手カードを別の色で解決できるところであり、それさえ出れば有利になってほぼ勝てるというような強いカードがある時にダブルマナシンボルの縛りがきつくても序盤の戦線構築に失敗しなければ引き合いに縺れた時に引いて勝つ可能性があるなら、無理しても決め技になるカードを入れたら、回っても勝てない試合に回らなくて負ける確率を何かの間違いで勝ってしまう可能性が開かれるので、そのカードが出れば勝てるというのであればダブルマナシンボルと色土地6枚とかでも無理して入れちゃう理論のほうが正しいのではないかというところまで踏み込んだ。

 

まあ、確率よりは期待値に近い考え方になる。成立確率は低くとも成立すれば勝つなら期待値としては高い。そういう論理だ。そしてそれはつまり運ゲーの肯定となる。おしまい。

ゆるく遊ぶマジックザギャザリング

昨晩から何かに取り憑かれたようにデッキいじりをしていたのですが。

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ひと晩で混沌と破壊の感情から秩序を見出すまで、カードをわさわさしながら考えた。

もともと近所でも遊び相手がいたのだが俺がトーナメント志向だったので、せっかく遊んでくれる友達との温度差で行き違いが多かった。というか、近所の寄り合いではなくおもちゃ屋やゲーセンに誰彼となく集まって出来たグループだったので、今でも結局の所どこの誰なのかしっかり知らないような付き合いであった。近所の人はやっていないが、広く大和郡山市で考えると「流行って遊んだ」という人は一定数いるはずなのだが、集まる場所がない。

まあ、MMORPGが流行った後に「久しぶりにTRPGのコンベンションでもやりたいね」とか言うけどいざ人が集まるとゲームより昔語りに花が咲いて終わるパターンを連想しなくもないんですが。すぐ飽きるんでしょうね。たぶん遊んでも。ただ、趣味のひとつとしてせっかく持っているのにガチで買い込むトーナメントプレイヤーと会場でガチデュエルしかしたことない、みたいのはお金使ってる割に反対に貧しいなと今では思うんですよ。

ゆるく遊ぶマジックザギャザリング。参加者はゆるく募集中です。


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