ニセカーメン

仮面ライダーの放送の中に敵ショッカーの軍団がニセ仮面ライダーを作って町で乱暴をして仮面ライダーをワルモノにしてしまう巻がある。今放送中のドラマ「でたらめヒーロー」にもそんな話が出てくる。


そんな話はヒーロードラマの中だけかと言うと、事実は小説より奇なり、ショッカーでなくても成り済ましや成り変わりを企てる人と言うのは結構いるもんだ。


僕はパソコンを親に買ってもらう前は不良だった。不良になる前はキノコカットのボンボンの優等生だった。ボンボンは嫌だった。不良になってゲーセンに入り浸ると、世の中つまらないけどゲームは面白いからゲームを作る仕事なんて面白んじゃないかと漠然と思っていた。そんな切り口で自分語りを続けても仕方ないが、不良時代に一番面白かったのはストリートファイターの日本漫遊の旅(本人は修行の旅だと思っていたが)知らない同士で同じゲームを一緒に遊んでその後ゲームについて語り合う、というようなことを奈良から出発して西は広島、東は栃木と(日本漫遊にしては狭いけれど)巡ったことがある。


そのころ知り合った友達からすると、最近の僕のインターネットの人格が不良だった学生時代と重ならなくて違和感があると言う。旅芸人から引きこもりに成ったわけだから、性格も変わるのは仕方ない。そのギャップを埋めるよりも、違う人なんだとしたほうが人々には受け入れやすいらしく、奈良に何人かニセカーメンが現れた。僕の知っている限りではブログを書いているゲーム屋店員というのと、アメリカの大会でギルティギアを優勝したアクセル使いというやつだ。ネクラとヤンキーで2キャラいるわけだ。


また、そもそも論になるけれど、栃木くらいまで行くと奈良と大阪の区別が無くて、訪問した先から「大阪の春麗使いカーメンさんが遊びに来ました」みたいなカキコミがあって(当時はツイッターの事をカキコミといった)近所の友達からは「大阪の春麗ってかいてあるやん、どこがお前の事やねん」などと、摩擦が既に起きていて、僕はほら吹きの扱いを受けていました。インターネットには本人が嘘のつもりはなくとも文筆家の先生が書いているわけでもなく、知識や語彙や理解や調査など何もかも不足の文章が溢れていて、そこから実像を読み取るのは困難な性質があるのかもしれません。


今になって不良時代の話を持ち出すのは、過去とつながっていることを証明したいからです。偽物か本物かは論点から外します。ゲームクリエイターに成ったから偉いとかじゃなくて、何の取り柄も無くゲーセンに入り浸りだった過去からゲームクリエイターまで至った経路があるひとりの人生を傍から見た時の面白味だと思うのです。


ただ、蛇足になるかも知れませんが、この話は何の取り柄も無くゲームセンターに通う若者の人格を否定する事につながります。そのままじゃダメなのかって。今でもゲーセンバイトをしながらスト2の大会を定期的に開いて食っているような人もいるので、そんなに意識して別人にならないと人生おしまいってことでも無いと、これは傍目に思うんです。


ところで僕の現職はIT社長かゲームクリエイターか作曲家かどれなんだと突っ込みが入っていますが、飯が食って行けるのはIT社長(個人事業=ひとり社長)でゲームクリエイターは最高バイトで月給30万で作曲に至っては1曲3000円です。この3000円と言うのはコンピュータの仕事で部屋にこもっているとサイバーテロの容疑をかけられ部屋の近くに張り込んでいた警察の人から職務質問を受けて「何をしているんですか」「パソコンで作曲しています」「どんなんなん」「見ていて下さい」「カタカタ、カタカタ(打鍵の音)」「まだか」「10分くらいで良いです」「もう12分だ」「できました」「おお、ウタガって悪かった」とポケットから出してくれた3000円であって、音楽事務所からのオファーみたいのではないです。インスト曲が最高ランキング89位で300ダウンロードでギャラ無しとかです。ただし、その曲がほとんどそのまま有名アーティストのバックトラックになって、実質上は僕が2010年代のヒットチャートの一部を担っていると思い込んでいるのですが、近所のレコ屋でCD何枚か買ってきてスタッフ欄にめぼしい名前が無いからガッカリしています。もう「弦一徹ストリングス」とか、ポップはスタッフ名までポップになっているといいますか(ここ、笑う所ですよー)それでIT社長かゲームクリエイターか作曲家かはもうどうでもいいです。全部同じパソコンで作ってます。


あと「会わないつもりの元気でね」が収録されるSCANDALのアルバムが出たら買います。