技術者派遣を禁止する法案

俺がプログラマーになったのは卒業年度に今ほど絵で喰える仕事がなかったからであって、出来る仕事の中からアルバイト以外で飯の種になるのが派遣プログラマーだったからだ。だから派遣プログラマーという職業形態が無かったら俺はアルパイトか無職だっただろう。親の自営をその時から手伝ったかもしれない。


しかし、なってみたものの派遣プログラマーというのはおかしな仕事である。会社に降りてくる計算機関連予算を小分けにして小分けにしてもプログラムなんて誰も出来ないので出来る人を派遣会社に紹介してもらって端金(はしたがね)を渡してプログラムを組んでもらう。言うなれば今はやりの夏休みの宿題代行と同じことだ。元々プログラマーとして雇われているのに自分の分が出来ない人が分け前を与えて出来る人に頼む。そういうことだ。


そして、世の多くのプログラマーは何でもコンピュータ任せで身の回りの事が出来ないだらしない人なのだ。パソコンオタクの成れの果てというか。


そうすると、人材派遣会社の仕事というのはそういう「だらしないプログラマー」を何とか会社に持って行って誰にも分からないプログラムを組んでもらう事なのだが、体裁としてタイムカードを押してもらって時間給を計り、そこから中間マージンを足して会社に請求する。肝心要はだらしないプログラマーが仕事を引き受けてくれるかどうかで、突然嫌になって止められたりしても何とか叩き起こして引っ張り出して会社に持って行かなくてはいけない。そこまでするのは人材派遣会社の人も頼んだ会社の人もじゃあ自分でプログラムが出来るかと言うと出来ないからということの証拠になる。できるなら、やればいい。けれど、出来ないのが分かると足下を見られるので頼んで自分でやったフリをしている。まさに宿題代行の大人版そのもの。


だから、プログラムの仕事というのは一度引き受けて「この人に頼めば出来る」というのが分かると、たちまちに方々の会社から「やってほしい」という依頼が来て20代は忙しくて死にそうだった。しかし自分は勤務先や仕事内容の垣根を超えて色々の会社にプログラムを組んで回るのにはウンザリして、一度電話を切って貯金でゲームをして遊んでいた。すると、人材派遣会社の人が住所を突き止めてどんどん家に押し掛けてくる。嫌だった。逃げたい。俺は鬱病になって入院する事でプログラマーの仕事を実質的に出来なくなるまでさせられた。


このへんの事情を民事訴訟する事も考えて法律を勉強した事もあるが、会社からは示談金をもらうにとどまり、俺の鬱病は労災にはならなかった。それでも後々になって冷静に考えると、もう代行に頼んで自分で仕事をしない人がぬくぬくと暮らせる今の世の中の在り方がどこかおかしいと言う考えを刑事訴訟できないかと警察の相談所に行ってみたのだ。


そうすると、警察の人は話を全部聞いてから「売春と同じやね」と答えた。自分が嫌ならやらなければ済む話だけど、組織的に人を拉致監禁してプログラムを書かせているなら管理売春と同じような量刑になってもおかしくない。しかし、そのための法律はまだ日本には無いということ。だから、嫌なら断る。しつこいようなら迷惑防止条例にかからないか考える。脅されたら恐喝罪に訴えるなどして、身を守る事をまずは考えなさいと。いずれ労働者派遣の悪質なものを取り締まる法律は出来るだろう、法案なら既にあるらしい。そして、君はプログラマーとしての業を持っているわけだから無職ではない。ただ働くのに適切な環境が整っていないのは間違いないので今は辛抱しなさいと。


今はインターネットがどこの家庭にもあるので、家に居ながらプログラムを家のパソコンで組んでメールでのやり取りで働けても良さそうだと考えている。そしてソフトの多くは有志の手でインターネットで無償配布されて、その改変や修正もまた有志でするというオープンソースは定着しつつある。


そうすると、会社や役所でプログラム担当の人が何をしているかと言うと、現在戦力外の人の力を伸ばすために社内教育でプログラムを覚えさせようとする向きはあるけれど、それすらも余分のお金があったら派遣プログラマーを呼んで宿題代行させようとしている。ようするに予算が余って遊んでいるのだ。


俺の選択肢はふたつで、余った予算つまり税金の無駄を派遣プログラマーになって受け取りに行く。もうひとつは余った税金が絞られて無くなる事に期待してプログラマーの仕事を全て断る。そうすると、応援すべきは坂本龍馬を彷彿とさせる某団体になるわけです。期待しています。奈良にも持って来て。