マジックザギャザリングの何が面白いって19の頃にはバイトしててカネがなく優勝賞金に目がくらんで勝つことを目指した。
それからかれこれ25年、優勝賞金くらいのカネは仕事して貯金して持ってしまった。
それでも、マジックザギャザリングは俺の趣味となった。賞金分のカネを持っていてもそれから挑んで優勝すればカネは2倍である。そう考えたこともあった。研究するのにカネは要らないが参戦するにはカネがいる。てか、そんだけ貯めている時点でお金の使い道など普段はないということにも着目して、ちょとだけ(6パック)新しくカードを買って、また楽しくなったのが今年の初め頃の話。
昨日のテレビのクイズで水の入った風船を火で炙っても割れない、それは中の水が熱対流するからだ。では、お湯、塩水、炭酸水の3つのうち炙ったら割れるのはどれ?という問題で、イケメンで賢そうな藤木直人と美人アナウンサーの森富美が揃ってお湯と答えて、正解は実験しての炭酸水で、それから何故炭酸水で割るのかの説明があった。
試験は意地が悪く、普通に推論すると熱対流で割れないのだからお湯なら割れる。こう考えるのは素直で論理的である。俺は高校の頃は勉強以上にそういう出題傾向の厭らしさに試験慣れして、勉強量以上に試験の成績が良かった。誰しも普通の推論で熱対流を選ぶからそれが間違いになるように作られているだろう、みたいな推論から塩水と炭酸水を二択で当てずっぽうしたのである。お笑い芸人の有田君が当たっていたが、そんな感じじゃないのかと思った。
俺は大学受験に一度失敗していて、センターの自己採点は良かったので不服であったが、勉強不足を認めてもう一度やり直した。そうすると、試験の公表されている配点として炭酸水が正解で配点5とか出てくるけど、塩水が論外でお湯は論理的思考力あり、みたいに隠しパラメータがいっぱいある別のテストが裏で行われているのではないかとも考えた。
そして今俺は先日エクセルで計算して叩き出したMTGのデッキをそれ以前の論理思考で強いと当たりを出した所と自分の中で意見を戦わせていた。数値シミュレーションはカードの色とマナコストと土地の引合せと使い切りターンなどをパラメータとした指標で、それでもトーナメントではなく巷ではおそらく勝ちすぎとなる。
それで、自分の経験を信じるか数値シミュレーションを信じるかというと、相手のデッキとのデュエルの成り行きとか、計算しきれていない部分を「なんとなく」で片面的な数値シミュレーションで押し切るのも違うよなと思っている。
そうしながら、ああ、弱い奴をデュエルで負かすのではなく正論を導き出すのに議論のテーマとしてゲームを扱っているだけで、この試行錯誤のプロセスこといちばん求めていたものだと思った。そして実験は実際にカードを繰って遊ぶことで、そこはほとんど絵を眺めてトランプの子供遊びと変わらないので、ダラダラとしているようで気が休まる必要な時間だったことにも気づく。
思い返せば歴代のチャンピオンの中には一緒に遊んで過ごした経験から、研究熱心な人を参謀にして本人は結構ダラダラとしているような人もいたなぁ、とか思ったものでした。
確率で最高成績になるデッキを実験するには如何にデタラメによくシャッフルするかという問題が出てくるけど、勝ち筋のハッキリしたカードを引くか引かざるやというところがゲームのスリルなので、そういう風にデッキを作って実際にカードを繰って引き当てられるか、というところにひとり遊びは落ち着いた。
必要条件としてのデッキはほぼ定まったところで、決め手は確率ではなく器用さと機転によるカードテクニックではないかとも思うんですよね。実際積み込みも強いわけだし。
確率で物を考える時の実証成功とする閾値が慣習的に甘く設定されがちで、ベスト8くらいの戦績があれば良しと考えてしまいがちだけど、自分が欲しいものが科学実験成功か、優勝トロフィーか、賞金か、それともその後の生活かとなっていくと、客観的に引け腰に見えちゃってるかなというところもあるんだろうね。
たくさん書いたので、「分解 / Disintegrate」を以前不採用にして再び採用にした話を書きたかったが、MTGのルールやデュエルの成り行きから、イーブンに近いゲームでX火力が決め手になるケースを先から想定しておくのが正しいか否かというのはひとまとめに論じるには遠大なテーマなので、今日はやめておく。最小2マナで1点から最大土地16枚で15点までフレキシブルに打てるのが弱いわけがないんだけど、洗練されたデッキにはそれでも入れるか入れざるか悩むジレンマがあり、それは稲妻が1マナ3点とクッソ強いから。
場数を踏むには積極的参戦が必要で、既に参戦時にトーナメント前半で1杯でもするとスイスドローとはいえ萎えてしまう自分のメンタル、実験を卓上ではなく人生賭けてやれるかみたいなところで、俺はデュエリストは趣味にして貯金で勝負しようと決めた過去の考えを、もうちょっと遊びに意欲的になってもいいかなと改めようかと思っている。
堅実に生きたいならギャンブルは控えるべきという一般論と、昨日久しぶりに見た映画バックトューザフューチャー2のラスト前、タイムマシンをスポーツ賭博の予想に使ってボロ儲けという考えは捨てろというスティーブンスピルバーグ監督からのメッセージ。
かといって科学研究を真面目にとなっても、機関で働く適性はやや欠けていたのかもな。