勝率を1%でも上げるための研鑽はどの程度効果があるか試算した

 GoogleのAI試験運用が始まった。まず何が知りたいかと言うと正直に当面の究極課題「マジックザギャザリングの最強デッキ」である。

 スタンダードでのエスパーレジェンドが赤単に勝率で勝ることや、ヴィンテージなら"Ancestral Recall"と"Time Walk"が最強で次いで"Bazaar ob Baghdat"での発掘が強いらしい。

 まあ、ヴィンテージは知り合いから譲ってもらうなどするならともかく、店売り価格で自己資金ではちょっと手が出ないカードも多い。スタンダードはそこまで興味が無い。それでも問いとして「最強デッキは」となると、格闘ゲームストIIダイヤグラムを作って研究したように候補となる強いデッキ同士で勝率を出して相性を測り、その中で最強を決めるというのはひとつ合理的で、その上で資金的に最強デッキが取れるか、安価な次点の候補で挑戦するかを考えなければならないとしたら、それを試算してみた。

 プロツアー予選がだいたい8回戦なので、勝率4割のデッキで8回戦をトップで抜ける確率は0.06%になる。

 対して勝率6割のデッキなら1.6%の確率となる。その比は実に26倍にもなる。そうすると、勝率4割のデッキで26回挑むのと勝率6割のデッキで1回挑むのが同じ確率なら。プロツアーが年に一度とすると26年分のチャンスが6割のデッキにはある。

 ちなみに、1%でも強くしたいというので、5分5分と51:49ならどうかというと、51%勝率デッキで8回戦を勝つ確率は0.45%で49%デッキで8回戦を勝つ確率は0.33%だからおよそ1.3倍。そうすると、自分のデッキはこれだと決めてその中でちょっとでもデッキを強くするとか苦手を補う工夫よりも、まず大局を見て最強デッキを採択する方が圧倒的に高効率なのだ。

 勝負というのはそういうアンフェアなものだということを受け入れていなかった。

 変わったのは、カードを集めて遊ぶという態度の中で楽しみながら勝てたらいいなと考えるのではなく、勝って賞金が欲しいと思うほど小遣いが少なくなった30代の半ば頃であったが、それからカネを使わずに勝つにはどうしたらいいかとか、大会での一攫千金を狙うではなくトレードで少しずつ得を積み立てるとか、セコくなって今がある。

 それで自己最高成績はプロツアー予選ベスト8で8回戦6勝なわけで、それで強い人とばかり当たるわけでもなく、最強デッキというわけでもないが参加の意思を示して行動に移したということが最大要因だと今まで思っていたけど、あの時はあの時なりに勝率という考え方ではなく常勝無敗の最強デッキを目指して臨んだので、それで結果として上位まで上がって強いデッキとは何か考え直す結果となったんだと反省する。

 相手取って負けたデッキは自分が過去に作ったアーキタイプで、プレイに飽きて乗り換えた後にそのタイプを続けて研究したものに負かされたのが恥ずかしい感じもした。そしてマークされて「此奴の組むのはどれも強い」となって、デッキを組む以前にトレードでカードを出してもらい辛くなり、欲しいというと店が売値を釣り上げる。それがスタンダードに冷める要因だった。

 勝率9割で6勝する確率が47%で、あの頃はそれくらいあったんじゃないかと。対してそれより前から上位にいた人に新参者として注目されて大会の前日に徹夜マージャンに誘われて寝不足のまま本戦に臨んだり、盤外の攻防も相当にあったと記憶している。

 今はネットの普及率が各家庭で9割とかなので、雑誌の遅れた情報ではなく大会があると翌日には優勝デッキが広まり、俺が試しにAIに問うたように知りたいと思う人がいたら誰でも赤単に勝ち越すエスパーレジェンドのレシピが見られる。だから6割か同系の5割か赤単の4割かみたいなところが焦点になった記事として書き始めたんだ。

 やる以上は何らかの優位性があって勝算があるから意欲が湧くもので、面白いからとか負けても頑張るみたいな若い感性はだんだんと失われてきている。常勝無敗を目指して6勝というのは、文字通り「井の中の蛙」であったことは否めない。

 ただ、大局観を持ったとして、仮想敵とどう戦うかとなった時に同じくらいの資産で同じプレイレベルでデッキ選択をどうするかというと、そりゃ誰でも赤単に6割勝てるデッキがあるならそれを使うわけで、それを集めるのを妨害するために店が単価を釣り上げてそれを承知の上で買って挑む時点で店より不利なわけだし、その上で重ねる1%の研鑽が俺の与り知らないところで行われて勝率差が1.3倍となると、OB会が店に「ちょっと大会出たいからデッキ貸して」とねだって6割デッキでベスト8を占領するみたいな事案も理解できる。どのデッキも寄せ集めのアイデアで出来た素人のデッキには9割勝つわけだし、同系を想定して同系戦を練習する環境がある店が有利なのも間違いない。

 ただ、店のメンツに混ぜてもらうとそこは修羅の国で強デッキ同士でレートは上がらず、はぐれて村に戻りお山の大将をすることで蓄財を企んだのが30代の選択だったのだ。そこで最も重要なデッキが赤単であることを定めて、今の最強デッキ実験もあるのだろう。定めたテーマを誰かが愚直に研究した結果が赤単に勝ち越すエスパーレジェンドなのだろう。

 俺以外にも赤単が最強という人は上位に何人かいて、それに準じて色事故防止の単色理論派がいて、その上でカネ持ちデュアランまみれで多色の最強デッキを求めるものがいる。

 まあ、今デッキケースに入っているデッキも赤単を主軸に同系を勝つことを考えるところから出発しているので、アプローチはエスパーレジェンドも全く同じだと思う。

 自分で研究したことをあらためてAIに問うて、それでも返って来るのはエコーチェンバーと捉えることも出来るが、ちゃんとそのテーマを考えてやっている業界の人が仕事をしている姿が見えて、AIと言ってもまだまだネットのクローリングが主軸なので、こうして打ち込んで記事の内容を深め合う行動にも意義は見いだせる。

 結果が欲しければ結果のコピーで良いと考えるのはやや短絡的だが、プロセスを見ると凡庸な考え方から同じ論理を辿って数字実験の結果多い数を取るという手法になるしかなく、プロセスも結果も含めて全く同じとなったら、それは終着点か先端課題か。

 そう考えるとタイマン型ゲームの攻略法ってそのうちゲームが出来たらAIが即座に答えを出すゲーム攻略の集約化の時代が来るのではという危惧はやや当たり始めている。

 まあ、五分五分を基軸と考えて優勝は宝くじの当選みたいなものとする主催者サイドに対して、店でも構えてプロになるという信念を持った人の勝率は素人には9割以上あるし、最強の最もシンプルな形の赤単と比較しても当選確率26倍。

 1割の勝率では当たるものも滅多に当たらないわけで、最強を目指して赤単を組んで出してみた勝率が4割くらいという結果が当選抽選のスタートラインになるのかなと。

 その後に「ジャンド」という負け組でも勝ち目のあるデッキで全員結託して参加するという事件があったわけで、その獣道を通った先にあるものが今の自分のデッキです。

 ただまあ、ジャンドの案件にしても「なんでそんなに楯突くの?」って話ではあって店と仲良くなってエスパーレジェンドを売りましょうよって話にはなれない自分です。 

 これは日教組が力を持っていた頃の学校教育で刷り込まれた強烈な左翼思想が根底にあるからなんだよね。フェアであれ!インチキはゆるるさーん!みたいな。

 それで見えてきたのが遊戯王クリボーに意味があるような「弱いカードにも何らかの長所があり使い道がある」みたいなのは現実視ではなく左翼思想から来ていて、優勝を目標として数値分析してみると明確に強いと弱いの線引きがあるのが事実。ただ、それを左派思想の公平平等ではなく売価の高低という市場原理でもって見たら弱いものは安く強いものは高いとなり、その単純さを回避するために様々の価格が提示され、その中で「安くて強い」でワンチャンを狙うというのが右でも左でもなくねじれにねじれているという話だとは思う。安くて強いカードでも集めるだけの資金力があるのは金持ちというのが本当の左派思想だとは思います。フェアも何もあったもんじゃないという。

 その中でカードゲーマーの言い分は「ルールは守っている」であって、これも賭博が違法なのに賭場には賭場のルールがあるみたいなダブルスタンダードなんだけど、右派思想も左派思想も無く賭博としても景品表示法の範疇で商法にも触れずお商売していたら、屁理屈みたいだけど法で裁かれるほどインチキでもなく、それは相手にしなければ済むという簡単な側面があるからで、分かりましたよ、俺は暇人で相手にしてるバカなんですよ。


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