マジックはゲームではない

マジックギャザリングはカードゲームとして遊べる。
カードを集めるだけで楽しい人もいる。
集めたカードを束にして、ゲームをするためにルールがある。
そのはじめに、カードの束(デッキ)を良く繰って、7枚カードを引く。
よく繰って、カードを引くものだから、よく混ざるか。
id:karmenはマジックの大会で新幹線に乗って東京まで行くような人だ。
東京での初めての対戦相手は、ゲームを始める前にこんなことをした。
「ちょっと、デッキ貸して下さい」
挨拶や仕草など、節々は丁寧さを感じる人であったが、
id:karmenが大事にしているカードの束を何度も乱暴に繰って、
手を合わせて念を込め始めた。
10年前の話だが、カードの大会などがあると、必ず思い出す。
ニキビの多いその男は、人の多い東京の中で、勝つのに必死だ。
どちらかというと暢気(のんき)なid:karmenは場違いな思いをした。
それで、大会で自分が勝つことに対する興味は薄らいだ。
それよりも、日本チャンピオンの塚本俊樹とはどんな人か。
大阪のDCIトップランカー大橋陵平と二人で彼の家を探して訪れた。
もちろん、アポなしである。
都内の二部屋のマンションに、雑誌の記者やゲーム好きが集まって、
ところ狭しと置かれた様々の外国のボードゲームで遊んでいる。
主人は留守であったが、帰りを待ち、出会うことが出来た。
マジックで一緒に遊んでもらうことは出来なかったが、かわりに、
ボードゲーム好きなら皆憧れるであろう豪華なメンバーで、
カタンの開拓」と翻訳されているユーロなゲームで遊んでもらえた。
負けた人が、近所のコンビニに使いにいくルールだ。
4人や8人で遊ぶボードゲームというのは、一人の腕で決まらない。
盤面の領地を広げて、もう少しで塚本氏がゲームを上がる。
そこで、失礼な若い客二人は同盟を結んで塚本氏の駆け引きを降りる。
同盟を結んで資源を蓄えた二人だが、ゲームの勝者は一人になる。
2番手まで追いついたid:karmen
大橋良平からカードを譲り受ければ塚本氏を追い越すことができる。
しかし、そこで塚本氏がつぶやく
「もう少しで勝てそうなのに、追いつけないね」
id:karmenはコンビニに行くことになった。
レジ袋を両手に下げて帰る。
帰ってきたテーブルの座席には、振り出しの駒と新しい地図のカタン
ソファで眠る塚本氏と、駆けつけてきたカタンの達人が待っていた。
塚本氏と、二度目のカタンは無い。
マジックのデッキを良く繰る話、いつのまにか忘れてましたね。


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