ヴァンパイアのビシャモンはつまり餓狼伝説2のアンディの残影拳ハメと同じかなと

 ヴァンパイアハンターというゲームにすごく入れ込んでいたことがあるのですが、久々に遊んでみると「どうしてこんなゲームに夢中になっていたんだろう」と月並みに言い尽くされて風化した感想を抱いたのですが、分かるまで考えてみました。

小学校の時に将棋が強くて、まあでも39歳現在で4級と将棋指しとしては弱く、趣味人としては人並であることが既に分かっているのですが、将棋やオセロのようにコンピュータが強いことが明白な論理思考型のゲームを好んで、トランプのババ抜きのようなゲームには何か嫌な感覚を持っていたんですよね。

これは論考を重ねて苦手を克服したのですが、確率を学ぶと人によっては平均化願望というのを持つんですよ。ジャンケンでグーで2回連続で勝ったら次は手を変えるだろうという風に、選択肢があると何もかもその分散具合が平均的になるという単純な計算をしてしまうんです。これは例えばハイアンドローのようなギャンブルや半丁博打で負けが込むほどに「そろそろこっちが来てもいいのに」と思いながらローばかり賭ける、半ばかり賭けるというような心理です。しかし、そう思い始めると相手が操作できるものなら負け続ける可能性も出てきます。

このへんが、ヴァンパイアハンターとどう関係あるかというと、ヴァンパイアハンターにはリズム感のチェーンコンボとコマンドの速さが必要なガードキャンセルを始めとして、ひとつ駆け引きに勝つと詰め将棋的に大ダメージを与えたり、操作が正確だと待ち続けて返し技に専念できるという駆け引きの弱さを克服できるシステムがたくさんあるんですよね。このゲームなら誰にも負けないほど強くなれると思ったんですよ。

そんでも20年くらい経ってみると、しつこく続けた人の動きが自分の最盛期と同じくらいになって、やはり駆け引きに勝つものが勝つゲームに落ち着いたと思ってます。回りくどかったわけですよ。

その回りくどさは例えば将棋がコンピュータの進化で先手必勝になるとすると、最初の振り駒でカタが付いてしまうわけですが、だからと言って「将棋の本質は振り駒だ」と結論づけてしまったら、それは違うだろうと。やはり先手後手の違いはあれ、コマの取り合いと王将を巡る攻防が将棋の面白さですよね。

そうすると、やはりヴァンパイアの面白さはアニメーションや音楽の良さはもちろんとして、ゲームとして考えると詰め将棋的なコンボやハメの手順の複雑さにあるのかなと。

あと、ストリートファイターではダルシム餓狼伝説ではアンディを使って、シリーズが変わっても基本戦略に変化の少ない主役キャラに憧れたこともあって、ヴァンパイアハンターではタイトル通りヴァンパイアの主人公の吸血鬼デミトリを狩るドノヴァンを持ちキャラにしていました。荒木飛呂彦の影響が強いキャラなので「この人ジョジョファンなのかな」と思われたこともありますが、今作こそ主人公をと思い立ったゲームがヴァンパイアハンターで、不運にも続編のヴァンパイアセイヴァーには登場しないので、結局は主役だから基本戦略が変化しないという最初の目論見は達成されなかったわけですが「堂々と主役を取る」という自分のキャラの立て方で強気に張ったゲームがヴァンパイアハンターだったんですよね。忘れかけていたけど思い出した。

それからストリートファイターリュウで、餓狼伝説をテリーで遊ぶように変わって、昔の仲間からは「らしくない」と言われますが、脇役症候群の後ろ暗さは治ったのでトレードオフかなと。

そんで、ヴァンパイアハンターの主人公は新キャラだったわけですが、ヴァンパイア初代の持ちキャラはアナカリスビシャモンで、結局はリーチの長いダルシムのセオリーとビシャモンのダッシュ強キックしゃがみキックキャンセル跳ね刃からまたダッシュ強キックという攻め方は餓狼伝説2のアンディの残影拳しゃがみキック残影拳の繰り返しと何ら変わってない。操作が難しくなっただけ。ストIIダッシュのベガのダブルニーハメとも同じかもしれない。その状態になれば駆け引きが介在せず、操作を正確にやったものが勝つという詰みのあるゲームをいかに詰めろまで持っていくかという事しか考えられていなかったわけです。

そこに至るまでにコンピュータ麻雀をひたすら研究して、最初のハイアンドローに「そろそろこっちかな」と賭け続ける心理の脆さを克服しました。ゲームの本質が詰め将棋的なパズルになっている場合はコンピュータには敵わないので、何らかの非公開情報をめぐる駆け引きのあるものを好むようになったのです。

そうなると、一方的にハメているだけの状態はすぐに飽きて、相手にも何かすることがあって、それに対して自分はどう出るかという格闘ゲームの読み合いの核心に迫る部分で駆け引きをする楽しさに引き込まれていったわけです。ギルティギアよりはバーチャファイターのほうが遊びやすいという感じですね。

そこは人の趣味の問題だから、どちらが良いとか正しいといういうところに答えを落とし込むことはしません。コンボゲーなら面倒がらずにコンボを極めてから対戦したいと思うタイプです。

ここまで整理すると冒頭の「どうしてヴァンパイアハンターに夢中になったのか」の答えは見えたと思います。複雑ゆえ付き合ってやり込む人が少なく、やり込めば一方的に勝てるようになったからでしょう。

そして今では麻雀という特技があり、将棋もやりたければ相手は無数にいて、ゲームと名のつくものはたいてい得意になり、とりわけヴァンパイアだけが特別ではなくなったから「どうして夢中になったか」を思い出さなければ忘れているほど、良い状態になれたと思っています。

仕事仲間にこのブログが届くのかは分かんないけど書いた。

ファイナルファンタジー光のお父さん見たよ。

FFのリメイク作品に関わったことがあるけど、最新の3Dのゲーム開発に憧れていたので「ゲームの仕事やってみるかい?」と誘われたのが過去作のリメイクなのに当時は不満で作りながら「いまさらこんな古いのやりたがるのって懐古厨じゃないの?」と現場で口にしてしまって反感を買ったんよね。製作者にして原作ファンって人も多いし。

その俺がここ数日スーファミSNKリメイクにハマってて、そういえば上司も「ああ、格闘ゲームのほうが良かったかもね」と言って機嫌を取るのにミスタードーナツを買ってきてくれたことなど思い出した。例えばストリートファイターVが初めてのストリートファイターって人はプッシュボタンの初代ストリートファイターとかやってみたいのかと考えた。

俺は小学校からファミコンで遊んでたけど、ゲーム雑誌やパソコン雑誌系ゲーム攻略本には必ず古いパソコンゲームの話題があり、誰でもお金を出せば買えるプレステなどの最新機種よりアップルIIのウィザードリィをやってみたいと思っていたことがある。

以前記事にもしたけど、芸術界では模倣は認められず「これを最初にやったのは誰なのか」ということが重んじられる風潮がある。といっても大阪芸大で聞いた話なのでもっとレベルの高い東京芸大や武蔵野美術大学では違うのかもしれんけどね。岡本太郎のごとくヘンテコでも、芸術としての評価は高く、写真みたいに上手くても写実画には写実画しての評価しか与えられないというか。

そういう風潮がゲーム評論に蔓延していた時代があって、俺の成長期に読んだ雑誌は新しいゲームに対して「つまりは昔のパソコンゲームのアレですね」で片付ける上から目線のオタクライターがたくさんいた。そして俺はこれらの雑誌をすべて焼き払い、新しいゲームの新しいポイントを詳解する新しいゲーム雑誌が出てくれば中古ゲームより新品市場が開拓されるのではと考えていた。

この背景には俺の住む大和郡山市近鉄とJRの乗り換え点で学校が多く貧乏な学生のために中古ゲームショップがあり、車移動の金持はジョーシンケーズデンキでゲームを新品で買う。それが、自身も学生であった頃によく少ない小遣いを握りしめて中古ゲームショップに通ったので、偏見を持って育ったのだと振り返る。

それから、ゲームファンからゲームクリエイターの端くれになった事での人のつながりと、ネットオークションの出現でどんな古いものでも求めたら手に入るようになり、いつしか洗脳が解けて古いものより新しいものを求めるようになった。その時にすれ違うように古いゲームのリメイクの仕事を頂いて、昔の自分なら「もう死んでもいい」くらいに喜ぶだろうけど、なんかすれ違っちまったなと運命を呪ったものだ。

今は、思い出も美化されて、ただ感謝でいっぱいだ。

そんで何だ。そうそう、テレビでゲーム画面を見て「今時はここまでキレイか」と思いつつも、仕掛けを作る主人公より、2話の予告編で「もうやめたいんだ」というお父さんに共感を覚えてしまう疲れた自分に気付いた。ソードアート・オンラインも人気あるし、ネットゲーの話題は普遍的なテーマとして扱われるんだなぁ。5年10年と運用されるネットゲーの保守なんかに回ったら新しいゲーム開発は出来ないし、ゲーム業界とひと括りにまとめようとしても、キャリアの振り方で人生それぞれ全然体験が違うんだろうなと思うよ。

スーファミの餓狼伝説スペシャルを山田十平衛でクリア

タイトル通り餓狼伝説スペシャル山田十平衛でクリア。

コンティニューなしで15連勝。気持ちいいぜ。

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煎餅とスライディングの組み合わせが超強い。

同じキャラに両方付いてるのがヤバい。このキャラ面白い。

ところで、ブログに「ストリートファイターIIの20連勝」というような話を入れると格闘ゲームの通信対戦の仕組みを知らない人には意味不明になる。なにせ、ストリートファイターIIには12キャラしかいないので12連勝するとクリアになる。

ゲームセンターの乱入対戦というのは台が2台ケーブルで繋がっていて、誰かがひとりで遊んでいるところに別の人が対になっている台でゲームを始めると最初の始めた人のコンピュータ対戦が一時中断になり、人間同士の戦いになる。勝ち残った方はコンピュータ対戦の続きを遊べて、負けた方はゲームオーバーになる。もう100円入れてコンティニューするともれなく負けた相手とのリベンジマッチが出来る。

この仕組が面白くてゲームセンターの虜になった人は多い。カプコンストリートファイターが新聞に乗ったのはスーパーファミコン版の発売で行列が出来たあたりだが、とかく麻雀や競馬が好きな人でストリートファイターも好きな人はもれなくこの100円玉を賭けた通信対戦の好きな人だ。

しかし、餓狼伝説スペシャルという長いゲームでも15面であることと比べると、20連勝というのは普通では考えられない面数になる。通信対戦の反対側の台に行列ができてそうなったり、誰かが同じキャラクターで何度も挑戦してきたりで時々そうなる。それだけ勝ったこともあるし、負けたことも言わずと知れたものですよ。

あらためて、ひとり用全クリアで15面なんだなあと。


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