怒首領蜂アーケードワンコイン1周を撮影するためにケータイを脇においてセガサターンを起動するのだが。やりだして1週間以上経ってまだ結果は出ない。苛立って4面ボスで死んだ時にコンティニューのスタートボタンを押してしまった。これまでワンコインを堅持していたので、自分に科したルールを破ることになるのだが何度やっても上手くいかない怒りがそうさせた。
俺は統合失調症という病気を患っているため、病による幻覚だろうと思われるのだが、声が聞こえる「ほらウソや」「あっ、コンティニューした」「ワンコインなんてみなウソや」「実はクリアなんてしたこと無いって言い。そしたらホンマや」しかし怒れる中で俺は沈黙して考える。これはマスコミで良く使われるやりくちであって、柔和な雰囲気の政治家などを罵詈雑言などでメチャクチャに怒らせてキレたところを写真にとりイメージを落としたりするのだ。確かに俺は毎回ワンコインクリアできるわけではないし、ここ1週間でもサターンモードをクリアしただけでアーケードモードはクリアできていない。しかしウソをついてクリアしたことにしたわけではない。事実としてゲームセンターでクリアしたことはあるが、証拠がない。
証拠がなければウソなのかと言うと、証拠があってもほとんどウソに近いことはある。カミナリを例に取ってみよう。カミナリは暗雲の下の一瞬の現象である。たまにカミナリをうまく写真に収める写真家がいるが、稲光を写真に収めたところで黒いところに白い筋の通った絵が出来るだけである。空にそういうものが現れることがあると言っても、今は晴れているとしてみよう。ではカミナリはウソなのか。写真はウソなのか。ビデオならどうだろう。それらは全て記録ではあるだろう。しかし日常や現状では無いかも知れない。稀なことなのだ。
稀まれにしか見られない体験が人々にとって有益であった時にそれらは奇跡と呼ばれる。奇というのは珍しい、滅多にないという意味なので、奇跡という漢字の示すところは「滅多にないしるし」ということだろう。しるされていてもしるされた通りにならないようなことだ。
俺が起こした怒首領蜂のワンコインクリアはそれを確実に成す人間がいたとして、その人が練習に使った時間と比べたら恐らく非常に短い期間の練習で奇跡的に起こったことであると言える。だから、それを自慢にすることは神を拠り所にするに近しいことだ。だから普段は用心して口にはしない。幻覚は続く「ウソって言い。アンタそのほうがラクになんで。ウソっていうのとホンマっていうのとどっちが得かアンタも考えや」俺にはウソと言うことが特になるケースが考えられない。確かに毎日怒首領蜂を続けると辛いこともあるので、その苦痛から逃れるにはウソという手はあるかもだが、そうしてしまって挑戦をやめてしまうと今度は何のために挑戦してきたかその自分史をあらためる必要があり、例えばブログの過去ログを嘘がウソとわからないように全部書き換えるようなことを企むと、それよりは毎日サターンを起動して怒首領蜂をクリアする未来のために働くほうが気が楽だ。嘘はついてしまうと嘘が嘘であることを悟られないようにあらゆることに辻褄を合わせて行かないと嘘の効力は低い。なら、本当でも嘘でも良いと言うか、俺はクリアしたことがあると言って信じるも信じないのも相手の勝手であるとしたほうがラクなのだ。
今日は腹が立ってコンティニューのボタンを押してしまった。しかしそれで記録が上塗りされることはない。なぜならコンティニューすることで稼いだスコアはリセットされるからだ。4面までに稼いだスコアを4面からコンティニューした後のスコアが追い抜くことがなければ俺が昨日までに出したスコアは上書きされない。しかしまあ、セガサターンのセーブは電池式で電池が切れると消えてしまう。子供の頃にはドラクエやファイナルファンタジーのセーブデータを消されるいじめにもあったし「これあげる」と言ってサインペンで名前を書いたカセットを俺に押し付けてその後に別の友達を呼んで俺の家に来て「ほらこのカセット、俺の名前書いてあるやろ。コイツ持ってんの俺のやねん。泥棒みたいなやつやろ」とそれで牢屋に入れられることはなかったが嫌な気分になる冤罪まがいのこともされた。
考えてみたら、そういう傷を無理やりにでも付けないと無邪気で陽気でキラキラしていけ好かないと恨まれたのだろう。俺だってウメハラというゲーム大会で有名な人を殺したいくらいに思ったことがあるから、まさか自分がそんなにキラキラしていたとも思えないけど、俺よりもっと小さなフラストレーションでそのリミッタが外れる人だっているのだろう。
つまりだ、麻原彰晃の遺骨は危ないから刑務所で預かってください、みたいな話なのかも知れない。怒首領蜂のワンコインクリアはそれくらい危険なのかと言われると、命までは奪われないとは思うんだけど「そんなこと自慢されたら自分で真似して出来ひんやん」と思われているんだろうな。