右大臣、左大臣

 テレビに岸田総理がタジタジと答弁しているところが写ると何とも言えない気持ちになる。外見的に散髪屋で刈ったような細身の顔で銀縁眼鏡のインテリ、どこの会社にもひとりくらいいそうなあの総理大臣は実は東大卒。自民党内のこの人選は大丈夫なの?

 俺が高校の頃、世はまさに受験戦争。しかしそれは20年前の話。今はどうなの?というところを考えていきたい。

 なぜ受験戦争だったかというと、当時は左派リベラルが強くて、お金持ちの家の子だからというのではなく勉強の成績で序列を決めて上から良い仕事に就く。基本はこうだ。

 その頃は経済成長期で日本が忙しく、週6日勤務で勤労の義務が固く守られ働くのが当たり前という前提があって、それで皆が働くなら勉強できる子に難しくて給料の良い仕事をというのが左派だった。

 それに対して、勉強で決着しちゃってから、大卒のサラリーマンって言っても結局カネ勘定して工場にモノ作らせて商売してるだけじゃねーか、それなのに何で俺らより給料高いねん!という春闘とか、同一労働同一賃金とか共産党みたいのが出てくる。

 一方そのころ受験は受験で、試験があるから試験ありきの勉強と実務的とか学術的とかで、学校で教えることにも特色があって、その中で国公立受験に進路選択するのはやや価値観の古い生徒ということになっていた。

 つまるところ、総理大臣と天皇陛下と東大教授の誰が一番偉いの?みたいな話で、東大教授が一番偉いと思っている人が一定数いたわけで。

 まあ、単純に国家予算と宮内庁と大学の科研費や授業料を比べたら比は出ると思うけど、あの頃はうちの親も「親に甘えようなんて思わずに勉強して働くんやぞ」って感じだった。

 それらは別個のもので、争っていたから成立していただけで、岸田さんのように東大卒の総理大臣ってのがテレビに叩かれて人気無くなったら、東大も総理大臣も共倒れで、NHK電通の不祥事を報道するくらいしか悪いヤツの探しようが無いというか。

 まあ、宮家がいちばん偉い時代にも右大臣と左大臣が仕事をしていたと思うんですけどね。なんでそう、一極集中にしてやっつけているかというと、世の中単純なほうが受け入れられやすいんでしょう。


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