遊戯王DSで遊ぶ中年のおじさん

 遊戯王の何が面白いか考え直した。俺はマジックザギャザリングをゲーセンでたむろっていた仲間から勧められ、ひとつ買った箱に「Lord of the Pit / 奈落の王(デーモンの召喚)」が封入されていて、たちまちその強力な悪魔のカードのおどろおどろしい絵柄の虜となった。

 ゲームがそこまで面白いわけでもないのだが、パックに封入されたものを安価で買って当たり外れがある、カードの当たり外れの感覚がゲームのルールの理解度によって違うので、その感覚の違いでトレード(物々交換)が成立して、互いに得をした感じで遊べる。また賞金大会があり、それで食っていく夢を見られる。

 つまるところ、ゲームしか出来ない能なしにゲームで金を得て暮らす夢を与えながら、買って開ける段の小さな博打からギャンブル漬けにしてしまうメカニズムなんだと思う。

 多かれ少なかれ、商売が成立しているということは損する側と儲かる側がいるということ。だいたい年長が狡猾に年下を騙す。ゲームショップでジャイアンスネ夫からカードを取るみたいなことを想像するかもだが、古本屋の爺さんがいちばん騙していて、中年はゲームクリエイターとかショップ店員とかプロプレイヤーで、さらに客同士で騙し合い、いちばん下の子供は親御さんか爺さん婆さんを騙しているのだろう。

 段階を経てきた以上は自分の歩んだ後ろを着た人間が過去の自分の映し鏡のように見えることもあるが、そういう昔の自分に対する嫌悪感とか、将来像の落とし所の分の悪さから、確かに古本屋の親父として生きる道はあるかもだけど、それでは財力的に敵わない相手も出てくるというのが歯がゆい感じがする。だから遊戯王はDSで趣味に止めるのだ。

 ただ、こうしてネットにブログの形で発信するともっと老獪な商売をしている古物商やゲーム業界のご意見番などと渡り合う事となるので、好き勝手な意見が通るわけでもない。ちゃんと相手の分も残す形で分け前をもらえるようにしないと潰しに来られる。

 若い意見を言ってそれが流行ってジジイが熱り立って正論をぶちかますという構図で今まで色々のことを教えてもらえたとは思う。そこで中年が正論をぶちかますとジジイは恐らく嘘で若い人を騙しに来る。そうして若い人が中年になって騙されたことに気づいた頃にはジジイはあの世か介護施設にいるだろう。そうなられると仕返しなど成立しようがないので、ネットで威張る元気のあるジジイが相手になってくれている内が花と言えるかもだ。

 「どんな花だよ!」と自分に突っ込んで今日の話はおしまい。火事と喧嘩は江戸の華ね。


🄫1999-2023 id:karmen