まだアーサー王伝説が終わってなかった話

 今日もアマゾンやヤフオクスーファミキャプテンコマンドーの相場変動と戦っている。19歳の高卒ゲーマーだった頃にはゲーム雑誌を読み、日本橋のジャンクショップで安売りのゲーム機をたくさん買って遊んでいた。あの頃買ったものは今高くなっているものも多いので、40代で厚生年金をもらって年金暮らしになる前にはサラリーマンで月給30万円以上もらっているのに何故か19の頃の方が金持ちだったと思っていた。

 それは、毎日仕事のことで頭がいっぱいでじっくりゲームを遊べていないから、感じている幸福度が低く、それをお金を使って娯楽を得ようと遊び方がエスカレートしていたからだと分析した。

 それで今はというと、貯金はあるし毎日暇なのだが年金以外の収入が無いのでゲーム1本でも買うか買わぬか値段はいくらかと、すごく悩む。思い切って復職したら稼いでゲーム代くらいすぐにと思うのだが、通勤にも何も縛られない暮らしに慣れてしまうとゲーム1本我慢するだけで辛い会社に行かなくていいと思うと買うのを辞める方に行く。

 それでまあ、キャプテンコマンドーは欲しいが今日もナイツオブザラウンドを遊ぶ。

 1面のボスを無事にノーミス(ノーダメージではないが死にはしない)で倒す。昨日より格段に上手くなったと喜んでいると2面の途中でモニタがブチッと切れる。すぐにスタートボタンを押す。テレビではなくパソコン用のモニタとスーファミをつなぐ機械であるX-RGBがときどき不調になるから、そこだけ電源を入れなおして画面が付いた時には1機死んでいた。あー、せっかく1面ノーミスだったのにと思うもののスタートボタンの効きも悪くポーズが出来ていなかったのもあるのだが、効きが悪いからと2度押すとポーズして解除になるかもしれず、そんなスーファミのために新しいカセットをプレミアで買うのは馬鹿げているよな、とキャプテンコマンドーをポンと買えない自分を慰める。2面ボスとは前よりは善戦だがやられて今日はそこで辞めとする。

 そもそも、どうしてそんなにキャプテンコマンドーが欲しいかも考える。スーファミソニックウイングスもプレミア価格が新品定価くらいだったので、それで納得して買って、その時にはシューティングはもう買わないと思ったのだが、結局それをキースで1周出来た後にPS2エスプガルーダはどうしても欲しくて買った。いつも「ゲーム買うのはこれで最後にしよう」と思って買う。以前は欲しいと思ったら買い、買っても働けばまた金は入ると思って、ゲームソフトがどんどん貯まり遊ぶ時間が無いままコレクションを楽しんでいた。

 それが、1本ずつ遊びこむようになって、しかし1回あたりはすぐに飽きてやめる。明日またやろうと思って、日々少しずつ進めていくのだ。その遊び方には経験値をためてパスワードやセーブで記録する方式のRPGなどが適していて人気もあるのだが、俺の格闘ゲーム攻略への異様な固執を知ったものはアクションやシューティングの上手い下手にも相応の理屈があることを分かってくれると思う。

 だいたい、何故そうなったかも今ならわかる。俺は親にファミコンも買ってもらったというか親が自分のために買ったものを占領して子供向けのソフトを買ってもらってゲーム強い、勉強強いの小学校生活でデブでもスポーツダメでも小学校ではモテた。

 それが中学で私学に進んでから、悪友の誘いでゲーセンに連れていかれ、俺は最初はすみっこで「雷電」などのシューティングを遊んでいたが、皆が集まっている台はストリートファイターIIであった。まあ武勇伝を語るとストIIは勝つまでやったが、その頃から公立に進んだ不良グループとゲーセンで接点を持ち、ファイナルファイト系が俺はまるっきり下手だった。

 彼らが何故あんなにファイナルファイトで強いのだろうというのは長年やりこみのせいかなと思っていたが、恐らくゲーセンにたむろって人がするのを観察して、上手いヤツのパターンを脇で見て真似たのだろうという風に推論した。彼らは俺の前では金を入れてやらなかった。俺がキャプテンコマンドーの2面ボスのボウガンを食らうと

「アレは回るやつで行けるやろ」

 ジェネティーの必殺技でボウガンを避けろというのだ。その時は知らなかったが、ダブルラリアット系の技は敵キャラに当てると自分の体力が減るが、飛び道具に使うと無敵で弾を消して相手に当てないようにすると自分の体力が減らないのだ。そんなん知らんやん。

 それで、ファイナルファイト系は結局おっさんになってから上手くなってきたのでシューティングが段々と高難易度になってゆくようにファイナルファイト系のもっと手ごわいやつを最近では求めていて、そのひとつがキャプテンコマンドーなのだ。

 キャプテンコマンドーにはレバー2回で出るダッシュがあり、それでスピードを生かした戦いが求められる。対してナイツオブザラウンドはガードが付いていて、経験値システムもある。ひとまずこれで遊ぶことを決めて、テーマであるアーサー王伝説をもっと知りたくなり、午前中は世界史の勉強をすることにした。

 世界史の本でローマ時代というとどこだろうとペラペラめくりポエニ戦争というページを読み込む。ローマ帝国の興亡について、いろいろな説や伝承が書かれているのだが、その中でも戦争中にローマが侵略しようとしたシチリアの数学者アルキメデスの話が刺さった。数学者で色々の兵器を開発してローマ軍を苦しめたが、数学の問題を解いているところをローマ兵に殺される。

 やばいやつや。ストリートファイターを数学で解くとか言って不良から目を付けられるやつや。やばいやばい。やばいと思うけど辞められない。

 それでも、ファイナルファイト及びナイツオブザラウンドを解くには数学とまでも言わないものの小学校の図形問題程度の知識はいると思うし、1面ボスに勝った時もフレームバーチャのようなことを敵も内部的にやっていて、それが分からないと切り込んでやられてコンティニューするしかない作りに思える。

 キングオブドラゴンズは半キャラずらしで、ファイナルファイトは縦軸移動からの投げ、キャプテンコマンドーはそこにダッシュが付き、ナイツオブザラウンドは今のところキンドラ形式で2面ボスまで来ているが、そろそろガードを使いこなさないと進めないのだろうと思っている。パンチ同士の殴り合いではあまり気にならなかったリーチ差も武器種の違いでハッキリ出ていて、リーチやスピードで敵わないものをガードでしのぐように出来ていると見た。ガードが出てくると、ガードはし続けると一定時間で疲れて無防備になるので、その時間を加味した縦横ジャンプ時間の四次元殺法となる。

 同級生のゲーム仲間には俺がストリートファイターばかり遊ぶのを見て

「俺はファイナルファイトの方が面白いと思う、お前の(以下、罵詈雑言)」

 という話だったのが罵詈雑言の部分に腹を立てず、ファイナルファイト系の何が面白いかという所にフォーカスすると、おかげで趣味がひとつ増えました。

 それにしても、価格も数値で、それを買ってどのくらい遊ぶかを時間とか回数にコインを賭けた値段で考えるとキャプテンコマンドーはあり得ない価格に高騰しているが、それでも欲しくなる要因は絶対的にキャラクターイラストの問題であるから、その後のアメコミ調ゲームが全部ストリートファイター系のX-MEN系やVS系に進化してしまって、アメコミ調ファイナルファイト系がオンリーワンになっちまってるのが要因よな。

 アーケードではバトルサーキットとかもあったけど、懐かしさ込みでやっぱりキャプテンコマンドーは持ちたい。ただ、プレミア価格がやばい。特に箱と説明書。


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