歌を詠む女

女の人をみるとき、容姿端麗に越したことは無いのですが、まあある程度目鼻立ちが整っていたらどれくらい美人かって量れないです(昔好きだった人に似ていると第一印象で好きになるというのはあっても)


では容姿が同じような人なら、何を見るかって、奥さんにするなら料理とか家事をしっかりしてくれそうな人。奥さんはお姫様にしてメイドに全部させる、みたいな金持ちならともかく、現実的には奥さん頼みのことって多いと思うんですよ。ここまでは普通と言うか当たり前だけど贅沢とも取れます。


レコードを買う時にジャケットの顔写真で選ぶという人が多くて、なんか俺の住んでる街にはレコード店が無くて書店にレコードコーナーがあるんですけど、そこで変なもの買うと店員に若い女の子でも居ると変な噂が立てられてやりにくいことこの上ないんです。AppStoreで買えるようになって本当に便利になりました。歌声とか歌詞とかサウンドとか、レコードを買う要素って色々あると思うんですけどね。


ひとつの偶像として、古いかもですけどシンガーソングライターってのが流行ったことがあるんですよ。歌を書く人と歌い手が同一人物と言う。レオナルドダビンチが尊敬されるのと同じことですよね。それが最近ではAKB48とか聴くのは、レコードを買うという行為がジャケットに対する好意だと捉えられるなら、歌詞は全部秋元先生でいいので対外的摩擦を減らすのにジャケット買いのほうがいいだろうと思っての精神的逆行なんですよ。


それで俺は時々カラオケに行くんですけど、男同士で行っても盛り上がらないので接客に女性が付くようなカラオケ屋に行くんですよ。そうすると、相手をしてくれる女の子にも色々居て、また他のお客さんもいるので、どうしても恋歌ばっかりが多いんですけど、貢ぐほどハマる女って歌をたくさん知っていてお客さんがどんなに場違いな歌を歌っても返事で盛り上げれたりするんですよ。それが面白い。夏場なのにドヤ顔でEXILEのLoversAgainを歌ってですね「初雪にー」とか歌い出してでもですね、ちゃんと歌で返して盛り上げてしまう。


そんでね、ひと回りくらい下の子とカラオケ行くと加藤ミリヤとか西野カナとか何が良いだろうって思うの入れるんですけど、俺たちがテレビやラジオのヒットチャートに流されたの同様に着うたランキングにガッポリやられてるわけですよ。そういやケータイで見たわwとか思うの。それで稼ぐ子は携帯SIM入れ替えながら3台くらい使ってiPodも持ってて、すごく歌を聴いている。オバサンになって何とかレコード1枚分作詞しましたって歌手より、ずっと色々のパターンを持ってるわけです。


それで前にハマった女の子のいる店に久々に顔を出すとですね、リモコンの履歴から今お客さんがどんな歌入れてるかって見れるんですよ。なんかこないだ帰ってから時間が止まっていたんじゃないかって思うくらい、俺がハマってた時の歌が入ってるのよ。大抵のお客さんは見た目で女の子選んで1時間くらい飲んで帰るだけだし、店の女の子も先輩の曲を店で覚えて歌うから、なんか時間が止まってるみたいな錯覚をするのよね。


ああ、ここから2013年まで進めるのはどのくらいかかるんだろうって。歌が定型文になっちゃうとつまらないとも思うけど、万葉集を気まぐれで買っても1000年前の歌に夢中になれるほど言葉に普遍性のようなものは無いと思うし、しかし年下の子はそれ相応に瑞々しい感性で今の歌を聴いているから好きだと言って好きだと返す以上のメッセージを持ってたりするんよね。それでも、感性より打算が勝つ、ええオッサンに俺はなってしまったんだなと思うんですよ。2時間も飲むと相手の子も酔っちゃって恋歌にぽっとなってる。それに定番のR35とか入れると免疫ない感じで、そんで店のベテランのお姉様方から「アンタも嘘つきになったねー」とか言われて帰るわけです。


何の話だっけ。女を選ぶとき、そりゃ顔だよ。料理だよ、歌だよ。とかいってると、このまま独身で突き進む勢いしかないのですが。落としどころも見つからないまま今日はこのへんで。20代以下には分からないと思うけど、俺の年になると盛り上がるカラオケも有料なんですよ。


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