何というか最近は相手のいることが本位になってるんですよね。
たとえばゲーム大会優勝を目標にしていたころは勝ったら有名になると思っていた。願いが全てそれでゲームの中のことしか考えていなかったんです。いろんな人がいますから。
地元から出ない家族や近所の人
地元のゲーセンにたむろってる人
地元のおもちゃ屋でMTGやってる人
都会のゲーセンでゲームしてる人
MTGの賞金のために旅費を出して旅してる人
会社勤めしていて派遣社員として世話になった人
派遣会社の社員で事務手続きとか懇親会で知る人
家でプレステで遊んでネットでつながっている人
この9個のグループと俺は全て関わっているけど、大会優勝しても地元の人は知らないし、優勝者でも都会のゲーセンではすぐに負けたりするもんですよ。そうすると毎日勝ったり負けたりしているから「何してんのかなー」って普通の人は思う。ひどいところなんて、ゲーセンの台が他の人の台と通信でつながっていることすら知らずに一人用のゲームをコンティニューしてるんだと思って見てる人もいる。
家族が何も知らないとMTGの大会でドイツ予選の切符を手に入れたのに自宅にはがきが届いたら親が変な旅行の詐欺の手紙だと思って旅行を承諾してくれなかったり。
俺はゲーセンやおもちゃ屋でも基本的に年功序列で年下や同い年にはタメ語で年上には敬語を使うから、会社勤めをしていた時の年下くんが俺のゲーセン仲間の年上の人をすごく偉い人だと勘違いして商談を持ちかけてしまったこともある。
とにかく、以前はネットに書いたらある程度の範囲に自分が書いたことが広まると思っていたが、そうでもない。
そして俺は派遣社員なわけだけど、行く先々で対応は違うわけで派遣社員に仕事を頼むことを「カネで奴隷を買った」みたいに考えている人の下では働かない。そういう応対をされると派遣元に迷惑がかかっても即座にカバンを持って席を立って帰る。俺が派遣社員として働いているのは3年勤めた設計事務所が正社員登用をしてくれなかったから仕方なくではあるけど、専門家に対して自分たちでは出来ないことを頼んでいるから対等な関係であると考えている人と仕事をしたい。そうなるように「買って働かせる」という対応の人には値段をふっかける。
そうしているうちに昔は猫背だったのが背筋が伸びて、スーツを着てシャンとしていたものだが、派遣社員なので仕事の依頼がない時はゲーセンやおもちゃ屋で遊んでいた。そのさまを見て、ゲーセンやおもちゃ屋になんで良い年した大人が遊んでいるのか不思議がる人もいる。
とかく、これらのすべての顔を知る友人というのはまだいない。みな、それぞれの社会があって、その中で暮らしている。そのひとりひとりが俺のことを何者だと思っているのだろうということが最近の自分の興味の全てなんですよね。
ボクシングの世界チャンピオンというのは17階級4団体で68人いつも世界にいるわけですが、日本人チャンピオンを3人知ってたら結構ボクシング好きですよね。インディ500で佐藤琢磨が優勝した、日本人でモーターレース初優勝でケーブルテレビを見ていた親父は興奮して朝のニュースでやってなかったか、NHKに出ていないかと翌日ずっとテレビにへばりついていたけど、出なかった。何でもニューヨークでは有名人なのだとか。F1くらいのイベントならニュースに出るかもだけどインディ500って、そんなもんかと思うと、家族が自分のことを何ひとつ知らないし、渡米する前は独り暮らしだったし、雑誌に乗っても白黒ページだし、仕方ないよなとつくづく思うんです。
ネットで誰かがこれを読むより、近所のおもちゃ屋のおばちゃんと息子さんが今ではおばあちゃんとオッサンなんだけど、あのふたりだけでも俺がアメリカで勝ったことを分かってくれたらって。でも、もうホラ吹きのレッテルを貼られて話すら噛み合わない。本当に残念なすれ違いが起こってしまったんですよ。雑誌に乗ったりアメリカ行ったりする前は店の中で一番強いくらいのことは分かってくれてたと思ってたんですけどね。それすら。店番してて、どの子が勝っていたかすら覚えてない様子で。残念です。