ヤンジャン5万部、モーニング14万部

流石に43歳にもなると特別な感じは持っていないが、10代の後半から20代あたりには大学に落ちたにもかかわらずそれでも私学のエリートだという自意識があった。ゲーセンでのストリートファイターは勝っていたが、それもお金が入るからわざと負けられていただけかもなと思うところもある。ただ、真剣にやっている同士の勝ち負けの如何によらない仲の良さみたいのは芽生えて、特に大阪に出るようになってから仲良くなったマサユキにはストリートファイター以外にマジックザギャザリングの仲間にも誘われたし、離れの薬局の座敷を閉店後に雀荘のように使って遊んでいた。

まあ、ストリートファイターとかマジックザギャザリングで強いのは認めていたが、こっちが学校出てるでバランス取れてたとは思う。ただ、ゲームの強さにはゲームそのものへの打ち込みで強くなる要素と、高校で習うような数学の確率で強くなる要素があると思っていて、学校に真面目に通ってそのグループに混ざっているリョウヘイやヒサとは色々と意気投合した。

それでもマサユキには独特の強さと他の人が寄ってくる魅力があった。不思議だった。

薬局の離れはマサユキの親父さんのはからいで台所にカップラーメンが常備されており、朝になるとお袋さんが菓子パンを詰めたビニール袋をドアの隙間から押し込んでくれる。それをいただくのがどこか当たり前になっていた。ある日、俺はマサユキの親父さんと薬局ではなくお家の方でインスタントラーメンのカップではなく鍋でやるやつとトンカツとご飯をごちそうになった。そこでマサユキの子供部屋に横山光輝三国志全巻セットがあるのを見せてもらった。そしてマサユキの兄さんとふたりで、シーンごとに受け答えを完璧に覚えている。

衝撃だった。学校の勉強以外にも、色々な勉強があるのかもしれない、これは出し抜かれているようなしてやられたような何とも言葉にしづらい感覚だった。

ただ、高校の頃からの優等生のサダは俺がマンガを積もうとしているさまに気付いて引き止める。「ミヤザワ、なあお前がそういうことで負けたのは分かる。確かにマンガを読んだほうがそれでしか得られない知識もあるだろう。ただ、お前はもう学校も出て仕事もして今はこれからの生き方をどうするか考えているはずだ。そこへ来てのマンガはもう勉強としてその後の役に立つとかそういうことではなく、余興ではないのか。マンガで勝つとして、何をして勝ちたい?」

その答えは今も返せていないままである。これから何をするか考える頭にマンガを詰めてからではいけないだろうか、ということくらいかな。

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