公務員って本当に非営利なの?

 「公務員が儲けてはいけない」というのを子供のころからどこかで聞いた気がする。その時は「そういうものなんだな」と思った。

 専門学校時代に情報処理技術者に合格して、気づけば就職していた。月給はいつの間にか同級生より高かったが、俺は悪いことだと思っておらず口外してしまったら、ものすごい反感を買った。

 しかしまあ、自分の職場で自分がいちばんの高給取りになってから「ここで学べることは無い」と転職して、もっと高給取りの仕事を見て転勤を繰り返して探すように自分の未来像を描けない俺に上位の国家試験の噂話がもちかけられ、民営ではあるが公益性のある電気やガスのインフラで働く機会を与えられた。俺は30代だったのでまあ20代の新人たちがいるわけだが、年上のベテランはいつも喫煙所でタバコを吸っている。

 俺は基本情報技術者だが「あの人は応用情報らしい」「そっちの人は情報セキュリティスペシャリストらしい」などということであった。給料は幾らかは教えてもらえなかったが、なんか職場の雰囲気が嫌だった。やる気を削がれる体制だったからだ。

 それから応用情報を受験していちど落ち、しかしそこで再勉強するのは試験のリベンジではなく自分は何をしたいかだった。ゲームもしたしギターも弾いた。厚生年金ももらいはじめたし、親父が地主なので保証人として借金を背負ったマンション経営が軌道に乗って俺はテレビを見てタバコを吸ってメシは弁当ばかり。炊事もしない。

 気づけば45歳になっていた。

 しかしまあ、自堕落な生活ではあるが勉強は細々と続け、あらためて応用情報の勉強をすると営利を目的としない公務員(厳密には国家公務員と違って国家資格を持って企業で働くこともあるのだが)なのに、何故か午後問題に経営戦略の試験があったりする。

 なんで非営利なのに経営戦略とか損益分岐点計算とかしなきゃならないの?

 疑問に思い出すと「営利ってなんだ?」となって、一般会計で現金余剰を出すと当期純利益となるので、それは出さないけど、従業員の給料という意味で給料は本来生活費のはずであるが、給料をたくさんもらって生活余剰金というか可処分所得が出るとおもちゃが買えたり貯金して金融商品を買ったり、それがもっと大きくなると土地とか家を買うことが出来るかもで、土地が買えるカネがあると金銭で領地の奪い合いが発生して金融不動産戦国時代に突入するのである。これを昭和期にはバブル経済と呼んだ。

 その意味ではゲームで遊んでいる俺なんて可愛いものだと思って欲しいのであるが、給料をたくさんもらうこととか経費で露骨にフィギュアやゲーム機などの玩具ではなく割とどうでも良さそうな文具品やデジカメにパソコンなどおもちゃだろと思ってしまうものを買う公務員はいくらでもいるわけで。

 その給料から生活費を引いた余剰金と経費で買った玩具はもちろん営利だと思うし、生活費と言ってもシャケ弁と焼肉スペシャルでは焼肉スペシャルの方が儲かっている、体に貯めた脂が鋭利だろうと思うと、肥えた人のお腹のふくらみを思うのであった。

 ただ、そんな人ばかりではない。上位の国家試験に通ってコメと魚で国産品で食事して「ミヤザワさん、肉食いに連れて行って下さいよ」とかすり寄ってきて中華料理屋に入ってニラレバ炒めを一緒に食ったような公務員も思い出せばいるものだ。

 公務員は非営利でというのはどうしても政府から官僚以下の手足となって国から出たお金の範囲で仕事をこなすからであって、国益という観点に立つと外務省と財務省の管轄でありそれを考えることは越権行為とも見なせるが、農林水産省でコメと魚の取れ高とかコメの糖度や魚のタンパク質や脂肪を上げて日本の食卓を豊かにするみたいな国益の在り方もあると思うんだ。俺の場合は今は完全に職務怠慢状態だが、頑張っていた頃は経産省管轄以下でコンピュータゲームを楽しくしたいと思っていた。

 そうはいっても、ひとりで何から取り掛かると言うと、まだ漠然としていて自分がほぼオートメーションの中で暮らしている感覚もあり、抜け出すことを考えるか、周りの仕事を段階的に自律するか、自由をありがたいことだとして趣味を続けるか、それでもさらに余剰の勉強を積み重ねてこの勉強は既に遊びの範疇ではあるが、その先に見込める社会利益というやつは遊びの言い訳でしかないのかもしれないがな。


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