マジックザギャザリングを無言でする人々

一章 なぜカードが必要か?黙って相手に目にもの見せる

 趣味のひとつなので時々MTGプレイ人口がどれくらいか気になる。

 もちろんネットで検索できるが公式の4000万人はそりゃ噓でしょってなる。ウソである根拠があるわけではないがGoogleによると600万人。DCIトーナメントが開催された時には大阪や京都の会場に1000人のプレイヤーが集まったことがある。

 いちどプレイ仲間だったS氏が梅田でおいしいおやつを買ってキビ団子作戦を展開して、都市圏までクルマで来ているプレイヤーを捕まえて公式に乗っている地方の大会予選地であるおもちゃ屋を回るということをした。3軒ほど行っただけだが、だいたい8人集まるのがやっと。そのうちのひとりが優勝してDCI公式に来ているとして8000人から店舗大会に来る人に4人友達がいるという鼠算みたいな計算で2万人から3万人でないかと。

 ネットでプレイ人口を見ていたら「MTGは紳士のゲームである」というnoteをよませてもらった。ルールが難しくてジャッジが難しくズルが簡単であるから、それをお互いに守ってゲームに競技性を保証することが紳士的である、みたいな。

 紳士というと英国のイメージで、俺の思う実際は地方でずるし放題のやんちゃがカードをどうにかだまし集めて賞金大会に来て厳しい見張りでついにずるが出来なくなるかと思いきや、決勝卓でも雑なシャッフルやカットでずるしきって賞金をゲットするという中でどこか愚鈍にその中で競技性を夢見るが上に不正との戦いを相手の不正ではなく自分の持つモラルのようなもので自縄自縛で苦しんでいる人が筆を執っている感じ。

 まあ、世の認識は金持ちの坊ちゃんの玩具で、しかし結構いい年して競技としてやりたいと思っている人はいる。それをカモにする参加料徴収の大会運営者がいる。その中でぎこちないながらも他者とコミュニケーションすることで到底関わる機会のない関係性というか、身分や境遇があまりに違う人が同好の士として接触している。

 それは商売のための欺瞞でしかないように最近では思う。楽しく遊ぶ仲間は売り手と買い手に分かれていて、買い手が楽しめるようにどうにか相手をつとめて遊び代を取っているのだ。紳士同士の交流と考えたら非難が出そうだが、まず貧富の差があって経済があるという観点からすると「楽しく遊ぶ」を提供して金をもらうギブアンドテイクだ。

 俺は楽しく遊んでいた時にはベスト8になったことがあるがその時買ったカード代は異常で、それから店をはじめた仲間とふたを開けたら都会で保育所をしているような子守ビジネスが実態としてあって、冒頭に書いたクルマ移動での地方遠征を通して見えてきたものは会話を交えたTRPGの延長戦としてのTCGは都会の金持ちの幻想で、高いカードを買って目にもの見せて黙ってするという地方のMTGもあるように見えた。

二章 紳士って何?黙っていたら不正は無くなるものか

 アラーラの断片のプロツアー京都では8戦やったが確か最後の1戦は中央の卓で、もはやこのゲームでは賞金も何も決まらないという段で稲妻のインスタントをめぐるファストアタックの攻防でお互い無言で進める手が止まり、ジャッジを呼ぶ手を挙げても無視(過去のジャッジは試験がありルールを正しく運用する義務があったが、この頃はDCIも衰退期で進行役として数人がいる程度で細かいルールなど分からない)どちらも引かない状態と言いたいが、相手が引かない審判が来ないの不愉快でテーブルをガンと殴って自分のカードを引いたところで相手が勝敗の申請用紙を素早く奪い取り勝ちと負けを相手が速記して走って審判に持って行って黙って受理された。

三章 都会や公式大会から離れて見たものに普遍性はあるのか

 それからはカードをムキになって集めず、たまに店舗大会に出て景品をもらったりもしたが、出場の資格を得る最低限の購買で景品を取ると店が経済的に縮小傾向となるのもまた必然で「ゲームのプロとか言って子供から景品を巻き上げる輩がいる」みたいなご婦人の噂話で開催地での居心地も悪くされ、最後には店が閉店したので主催者が新しく立ち上げた店をネットで見て「法外な値段で商売してるなぁ」と思うが法外ではなく古物商としては多分合法なので、そこは断って大阪まで行ってみるとトレカショップでもMTGを取り扱う所は少なく、デュエルスペースもなく、遊び相手を失ったことに気付いたが新品のパックされたあてもの状態のカードを1ゲーム分買って帰った。

 恐らくだが、それくらいがプレイヤ人口の大多数と同条件なのだとも思う。ネットをしているとホビージャパン誌を見てワンボックスだけ買って雑誌を見て記事から想像を膨らませて楽しんでいる人というのがかなりの多数派で、格闘ゲームで知り合った中でMTGを持っているというと話をしてみてそれくらいの人がちらほらいた。

 するだけ集めるってどんなカネやねん?という感じ。景品をゲーム友達のお近づきのしるしとすると喜ばれたこともあるが、最新のネットゲームに誘われるとゲーム機のスペック的に買い替えが必要になり、誘ってもらうことは嬉しいが追加の出費がいるとなると遠慮というか参加の方が今後の人間関係まで考えると遠慮かもだが、敬遠とでもいうかな。もう自分ちでゲーム機でひとりで遊ぶだけでいいやってなって今がある。

 まあ、カルドセプト遊戯王ならゲーム機で(紙カードルールの)フルスペック遊べるわけで、MTGっちゃどういう趣味よというとボンボンとしてプレイ人口何万人に騙されて都会のショップでヤクザ屋さんのおっちゃんに遊んでもらったその仲間のキャラというか、普通に生活してたら知り合わない人と遊ぶのがドラクエルイーダの酒場とかウィザードリィボルタック商店みたいで面白かったという感じです。


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