やるせないので書き出してみる

 昨晩も夜中に目が覚めてPS2で遊んでから睡眠薬を飲んだ。

 朝になっても薬が抜けず眠いまま午前中をほぼ無駄と過ごす。昨日物置から引っ張り出したハイポジコンポは30年ものでCDもカセットも壊れていたのだが、磨いて配線すると辛うじてラジオが聴けるようだった。だが音質が悪く修理しようとして本格的に壊してしまう。

 その本格的に壊れたコンポをゴミに出そうとしたのだが、朝からもう一度部屋に持って帰っていじって、しばらく色々と試みてから物置に戻す。実用性はほぼ無いが思い出の品だから。

 思い出がなくなったら、何が残るだろう。お金はそこそこある、けど欲しいものが無く、食費に消えてゆく分と将来的に家がボロくなったら建て替えか引っ越しにいるなあ、くらい。

 その点、コンポは夢であった。コンポのラジオが動いた時に聴こえた歌が奇跡的だったのだが、俺はiPodで10万曲を聴こうとした過去があるので、まあ何が鳴っても奇跡と解釈するだろう。でも敢えて言うなら物心つくかつかないか、親の部屋のベッドで寝ていた頃にオーディオで聞いた歌と同じだった。

 MacBookProを立ち上げてコンポでよく聴いた音楽をiTunesで聴いた。感涙しそうだったが、途中からギターの音が自分で弾けそうかみたいなことを考えて聴いていた。

 虚しい人生だった。人間関係がどうしても上手くいかなかった。「いじめられる」というと弱くてスコボコにされるのび太ジャイアンの「のび太」みたいなのを想像するかもだが、体も大きく勉強もできて、ほとんどみんなが敵に回って何か強く当たると「あいつがいじめた」と先生を巻き込んで「いじめはいけない」というルールのもとで裁いて強い奴をやっつけるためのみんなが結託して、仲間外れにされるみたいな複雑な構図だった。理解できなかった。

 そんな俺の友達は親父が買ってくれたゲーム機やオーディオだった。中でもパソコンはインターネットで外界の誰かと繋がっているという期待感から、それで友達が作れると馬鹿なことを考えてしまった。取り入られ、利用され、金品を奪われ、結局俺に残ったものはと考えると、壊れたオーディオからでも音楽というのが心の全てだ。

 まあ、友達と言っていいのかはともかく、ネットに繋ぐ奴には寂しい奴も多く、俺が友達でなくともそいつも俺も同じおもちゃが好きという人間関係は結構あって、持っていると持っていないでは取り合いになるが、パソコンもゲーム機も持っている同士で分かり合う糸口はある。俺にとってエレキギターという楽器もそれに近いものがある。ギタリスト特有のあるあるが、しかし返って分かる分からないで新たな阻害要因となっている。

 その意味では誰でもディスクを入れて再生ボタンを押せば聴けるオーディオの方が好きなミュージシャンとかで繋がれて、ギターなんて始める前の方が仲良くなるキッカケは多かった。

 そうして考えていくと、対戦ゲームで強い奴特有の暗さみたいなものを共有する仲間がいながら、もっと強い奴ってその暗さすら外に出さずに仲良く振る舞う立ち回りすら兼ね備えているように思えた。ただ、近いところにいると感じる本音を聞けたこともあった。

 超一流は辛さすら感じさせない笑顔で苦しい練習に打ち勝った技芸を披露している。そして人気は維持しながらも、友達は本当は選んでいるのではないだろうか。

 吐き出してしまうと、この弱みは自分で晒している弱点なのだろう。敵にすると突かれて当たり前なのだ。チャンネルが6個くらいしかないテレビの主役はそれは倍率が高い。社長になる方がカネ貯めて書類書けばいいので倍率は低いかもしれない。ただ、倍率がそのまま難易度かというと、オーディションで選ばれちゃった16歳くらいの女の子は、そりゃまあ表層的なキャラ以上にはしっかりしているのだろうけど、40歳とか50歳まで勉強したオッサンとはまったく別種の才能だろう。そう考えると、オッサンで笑いを研究してテレビのコメンテーターになっている芸能人とかも、特有のノウハウがあって、見た目以上に難しいのかもしれない。

 うちの親父は修理工としても仕事をしていたので、壊れたコンポひとつ動くように直せるかは、ギターを取ってみても演奏技術だけではなく機械として周りのことが出来るか、そこをお金で誰かに頼んじゃうか自分で何とかできるかというのは、その仕事の成否と費用対効果を考えるのではなく、小さいことでも足しになるならと思って、捨てずに保留しておく。

 仕事がなくてお金を使ってしまうというのを、仕事がない時にそこに修理という仕事があれば、安易にお金が出て行かないというような発想なのだろう。


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