お金があってもラーメンは食えないという話

 30代くらいから株式投資を始めて、43歳でかなり堅い買い方になって株式の大半を現金貯金にした。そうすると証券会社から「もうちょっと貸してもらえませんか」と営業が来たのだが、株式売買では損失が出ていたので「もうだめです」と言った。

 それからマクドナルド、ほか弁、吉野家に近所の居酒屋で完全に食事のローテーションが組まれ、2年ほどそのルーティンで暮らしていた。

 そしてたまにはラーメンが食いたいと思って、親父にクルマを出してもらって行ってみたら移転先がまだオープンしていなかった。もう一軒別のラーメン屋をのぞくと駐車場が1時間500円なのでやめておこうと親父が言った。親父が「ラーメンが食いたいならあの辺りにあったぞ」「行ってみようか」閉店していた。ケータイで地図を見ると営業中なのだが、ウェブと店舗の情報を同期するカネすらないのだろうという話だ。

 結局、24号線のギョーザの王将でスタミナラーメンセットを食って帰った。

 車中から外を見ていたら、色々な店の看板が古びて薬局や介護施設だけが新しく、佐川急便とダイワハウスの大きな施設には夜も明かりが灯っていた。

 いまカプコンの株はかなりの爆上がりで、2年くらい前に買っておけばナーという感じではあるが、そんなことが読めるなら株は辞めていない。単純に右肩上がりだと思うから買うのだが、現金を株にすると経済を動かすカネは会社のものになるので客として使える分が配当金だけになると回らなくなる。まあ、右肩上がりではなく波動方程式みたいなものだとすると、底値を打ったら買えばいいのだが、波の高さも読み切るとなると難しい。

 カプコンと言えば今期の売り上げはスイッチのモンハンとかが支えているようだが、会社名を有名にしたストリートファイターII関係の動画に昔に競ったプレイヤーが今も現役で対戦をしている様子が映っていて、懐かしいなと思って見た。どんどん続編が出て買い替えないといけないとなると買い控えになるのだが、1本で長く遊べるということが立証されると、ひとり当たりの購買数は減っても皆が安心して購入者数が増えて売り上げとして上がったので、それが前年のことで今年は前年の決算を見て上がっているのだ。

 確かに、年に1本ゲームを買うだけで回るのなら、配当で十分な値引きになる。それが2年に1本ならお釣りがくる。そうなるとストZERO3で30年遊ぶとかなりの得になる。俺としては飽きていても、まだの人はたくさんいるわけで、これからに期待がかかる。けどこの高値で買うのはどうよ?やっぱり読み切る自信は無いなぁってか、日経平均はバブル期で3万円で更新がかかるくらい伸びていて、そろそろ頭打つんじゃないのってのが読みだから買いに踏み切れないわけで。そこにカプコンのゲームと言うと自分で遊ぶのではなくネットで動画観戦になっていて、実態経済がどう動いているか見えない。でも売上高が上がっている以上は観戦しているけどまだ持ってない人が買ってるってことだな。長く遊べると思って買ったなら、継続的に今年度も売り上げアップになるかはどうかなって思う。伸びるにしても、いまそうやって資産が増えること、有り金をばらまいてラーメン屋を流行らすって考え方か、家でカネ貯めて将来は介護施設にって未来か。

 株の話と直接の因果関係があるわけでは無いのだが、俺が中2から高2まで爺さんに小遣いをもらってゲーセンに通っていた。高卒で仕事がなく近所のゲーセンでバイトしたら、俺がいちばんの客だったのでガラガラの店の店番で小遣いが貯まった。店長は離れたところでカラオケ店を営業していて、ゲーセンの人は皆俺が客であることを知っていたが、店長は俺を知らないので普通に18の子供がバイトを求めてきたということで採用だったのだが、太い筋の客が店員になって回るはずもなく。

 ただ、大阪日本橋のアルファビームに限っては俺が店員になって売り上げはアップした。奈良と大阪の商売は違うわけで、俺は店番が終わってから店の中で格闘ゲームを遊んで通信対戦で接客をしていた。給料は半分返す格好となって、サクラ商法ではないかとヤクザ屋さんに咎められたが「店員として給料をもらって勤務時間が終わってからその給料をゲーム代にして遊んでいるんです」と言うと「あんたカバチタレか?」で済んだ。

 そうすると、どうかというと店がつぶれても奈良の店でガラガラの店番をしているほうがもらっている額は多いのだが、そのへんを天秤にかけると見えてくる。

 株はテレビで競馬を見て馬券は買わないようにグラフだけで楽しむ趣味になっており、現金はあるのだが、現金があってもラーメン屋が閉店したらラーメンは食えない。

 久しぶりに親父とふたりで王将でラーメンをすすったら、それも幸福だった。


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