「昔に買ってりゃ」はグロース株のひとつの売り方

 東証プライム上場企業は3000社以上あるが、日本にはもっと多くの株式会社があり、ましてや世界となると日本ほどの密度ではないかもだがたくさんある。

 それで株主って言ったらお金持ちでしょと漠然と思っている人が何かでお金を持って余したら「株でも買いませんか」と寄って来て、有名な会社の株を売る。「その会社なら知ってる」「テレビで見たことある」という理由で買われる。

 そこから上がる時と下がる時があって、上がって売った人はまた買う。下がった人はやめることが多い。上がって売って別のを買ったら、たいてい下がる。それでも、そこではまだ差し引きなので、浮いている人は打ち続ける。

 やがて言いなりではなくチャートとかを見て自分なりの分析をはじめるのだが、それで有名企業の過去をさかのぼって見ると、とても安く感じている事だろう。

 そうなると、目を付けるのは安い株だ。だが、プライムで安値を打っている株は安くなっているそれよりさらに前にひと山越していることも多い。

 そこでのひとつの正解は俺はグロース株だと思っている。これから事業を起こして資金を集めてやってやろうという会社だ。グロース株なら成功すれば将来的にすごく跳ね上がるかも知れなくて、そして現値は安い。

 ただし、これは競馬の論理で競争中だから安いのだ。他にも同じことを狙っている会社があって、どちらが勝つか読み切れないうちは安く、勝ち残って資産が貯まり従業員が優秀で今後も勝ち続けるであろうと思われているところは高いかもしれない。

 つまるところ、会社という運命共同体のまとまりで見て、これから勝てるか。そうすると俺には友達や味方がいるのだろうかとふと振り返ってみる。ひとりでグロースを買っても、同じ作戦で強い大きい会社に進路妨害をされて潰されたらおしまいである。

 強いところとそれなりに仲良く、商売の敵にならないという意味で俺はゲーム業界から必需品である半導体に乗り換えて、お客さんになってもらおうという作戦に出た。

 それは今も続いているが、ゲームもマイコンファミコンから勝ち上がった有名企業と言ってもゲーマーならロゴくらい知ってるというレベルの企業が伸びている。ゲーム株もうちょっと辛抱強く持ってたらナーとは思うが、これは投資した時に銀行に揺さぶりにかけられて手放してしまったのだ。銀行が持っている株だから上がるという話で、俺が持っていたら売られて下がる。株主になるとまず郵便局から総会の案内や配当の権利書などが送られ、郵便局員にどこの株を持っているか把握される。それを金融機関が預金などと照らし合わせ、個人投資家の財産は狙われてしまうのだ。

 それから俺は今の株を郵便局を通さずに都市銀行に振り込んでもらう契約を交わして郵便局のスパイを逃れいちどは収支プラスになったのだが、今度は都市銀行の振込手数料が爆上がりして配当金が手数料分証券会社持ちになるので、まあ何も俺としては変わらないけど、株価も横ばいになっている。

 結局のところ、経済において仲良くするということはギブアンドテイク以外に成立しないので、友達のいない犯罪者と同じような格好になってしまうのだ。友達付き合いというのはカネのかかることが多い。貧民層の娯楽である少年漫画には友情が描かれる。友達というのは従業員同士の結束を高め秩序を守るためのものであるのかも知れないが、カネの貸し借りで考えると、計算していないから損得が分からないだけで計算してしまうと終わる関係というのは一方的に損な関係であるだろう。

 だが、世の中には一方的に損な関係でも義理で受け持つという人だっている。そういう人は立派な人とされる。反対に得してばかりの奴はサイテー野郎なのだ。

 立派とまでは言わないまでもサイテーはどうかなと思うその心理が金融業のサイテー野郎から逆読みされて今がある。カプコンは友達だから値段をまた上げて俺に浮いたカネがあったら買うのではないだろうか、みたいな被害妄想が半分だが、そう思う。

 でも俺の友達って「カプコン」じゃないよな。同じゲームで遊んだ仲がゲーム会社の株主になったら、ファンとして喜んでくれるか、貧富の差に拒絶感を抱くか、それは友達が何人ってはなしではなく人それぞれに感じ方があるはずで、友達200人だからゲーム機売り上げ1台2万円みたいなカネ勘定はしちゃならんと思うし、友達200人がプロゲーマー10人実況5人ゲーセン店員25人ファン50人ゲーム会社50人その内訳企画何人絵描き何人プログラマー何人として、同じ会社のゲームでも作り手が部分的に入れ替わったりして、ゲームのファンもタイトルごとに違って、競って仲良くなった人もいれば勝ち負けでケンカ別れに近いのもいればお客さんもいれば内通者もいればひょっとしたら俺が買う前から株主だけど内緒で混ざってたみたいのもいるかもだ。

 そこの切り分けが出来ず、株が上がるか下がるかみたいな単純二択に追い込む誤前提暗示を食らっている時点で、俺がダウンしてて起き攻めに来られている感じだろう。

 買って上がるか買って下がるかではなく、買わないで上がるか買わないで下がるかの4象限で買って上がると買わないで下がるが得だと単純に考えてしまうから、買わないなら上げて買うなら下げるという事後操作みたいな能力を売り手側が本当に持っているかということばかり考えて深みにはまってしまう。

 いちどそのループから抜けて、友達は友達でカネはカネで株式は株式で配当金は同じまま売買代金が増減するのに一喜一憂しているということを切り分けないといけない。

 そう考えると、友達は友達と思っていても100円玉の損得やSNSでの知名度への嫉妬とか、仲違いの要素は以前より増えていて、けど何でつながっていたかと言うとゲームを攻略するというひとつの大きな目標に向かったサークル活動ではあったと思う。

 それは親が若くて面倒見てもらえたから無限に時間があるようなボンボン同士の仲であっただけで、カネはその頃より株でも買ってやろうかと思うほどあるようで、親も歳でそれぞれの仕事があって、ゲームも若い頃に無心でやって精通しているから面白みの分かる部分も共有できるのであって、仕事のひとつとしてゲーム会社の株主を選んだとして、昔の仲間に今後もお客さんであり続けてもらおうというのは違う感じがした。

 昔に買ってりゃ上がってたのにと思うかもだが、もし昔に買ってロックマンくらいで開発が終わっていたら今のようにはなっておらず、爺さんからカネ借りてストリートファイターに没頭したから今あらためて自由に使えるカネが出来たときにセルフブランディングとしてカプコンの株を買ってゲーム人生にゴールを設けたいみたいな思いがあるのだろうな。それは掛け値なしのようで、実は売買代金と今後の損益という風に俺の人生にはまだ続きがあるのであった。

 判断に困るが友達に相談しても「何でお前そんなカネあるねん」で止まってそれから連絡してないのよね。財界に友達を作りたいとか言う下賤な考えも今なら分かる。カネある友達って本当にカネの話をするのか、単にカネある同士でカネのかかる付き合いをしているだけなのかみたいなところでゴルフには誘われたがまだ行ったことは無い。

 格闘ゲームもトレカもカネのかかる趣味だが、始めるのは案外と安価なので、安価に遊びたいって友達は長続きするけどカネに糸目をつけずにする付き合いは遠くなる。

 そう考えると、確かに趣味のひとつではあるけど出資するほど?思うと違うよね。


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