「キット」として消費される音楽

 昨晩爺さんのプログラマーから昔のパソコンにはドレミのモジュールすらなくBEEP(ビープと読まれることもあるがピーって音)を短い周期(ミリ秒単位)で鳴らして音程を表現しようとしたんやでという話を教えてもらった。その音程が合っているか本人は判定できないとのことでSNSに幾つかの判定方法が寄せられていた。俺はケータイのボイレコで撮って採譜すればと答えてしまったのだけど、やろうとしていることが昔の技術水準での発明の追試なのでオーバーテクノロジーつまりやろうとしていることより未来の技術を使ったズルというか、追試ではなくなってしまうという問題になる。

 そう思えばギター買った時におまけでチューナーとアンプが付いてきて、だいたいからして買ったのがマックブックプロでのポチクリで外国人の講師(ビデオ講座)もついてすぐ出来たのは当たり前なんですけど、すぐ出来るわけがないと思っている人も多くてたくさん勘繰りを受けました。

 でも俺は違うと思うのよね。現代のポピュラー音楽はYMOのヒットの前後で違うわけだし、技術の進化で出来て行ったものとしてオーディオアウトプットつまりスピーカーから出る音があって、そこを良いものにするためにあらゆる手を使える強者がいて、それに追随するレコードやCDのジャケット写真になるモデルさんがいて、アイドルほどの乖離は無いにせよ偶像であるわけ。けど、バンドってのはドラムベースギターボーカルで出来ていて、コンピュータが無くても書店とか楽器店があったらバンドスコアという楽器ごとの楽譜が買えて「ごっこ遊び」が出来るようにアウトプットを弱めて作られる。真似のできない芸当を売り物にするのではなく真似るために色々の道具が必要になってそれを売る商売とワンセット、タイトルのオタクな言い方をすればプラモデルのキットのように既成部品を組み合わせて自分で作った感覚が得られる趣味としてある。

 思えばパソコン持つのは遅かったけど、メガドライブとかPCエンジンとかファミコンよりハイスペックなのバイト代で山ほど買いましたよ。楽器だって姉のピアノにカシオのシンセサイザにKORGMIDI鍵盤にローランドのステージキーボードと鍵盤だけで家に4台あってそこにギターも持ってて音楽家や楽器店かというと趣味とか玩具なわけで。

 ただ、そういう人への他者評価として「持ってるだけで弾けない」と思うことで貧富の差みたいなのをはねのけて精神衛生を保っているところに、上手い下手はともかく「弾いてみた」とかパソコンやケータイで放送してるとなると、もう答えは「アイツ下手」と言ってくれるもっと上手いプロにすがるしか無いわけで。

 ゲーム音楽の昔のやつの再現音楽でも作っときます。下手だったころのゲームの方が1面で何度もゲームオーバーになってイントロからよく覚えてることに気付いたけど、ふっとメロディも何も分からなくなる瞬間があって、ああ、そこいらへんでやられていたんだろうなと思うわけです。後期の人気作品といっても自分はプレイヤーサイドだった頃ですが、ゲームよりサントラの方が売れていたらしくSTGを彩ったのは同じゲームの絵と音楽をとっかえたその音楽こそが業界の最高水準で届いてたって話です。


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