都会派の人は「散歩でもしたら」と無責任に言う

 町を考えている。

 古都と言ってもそれは遷都1300年で語られる幻想のようなもので、大和郡山市奈良市からほどなく離れた人口8万人台(2022年)の田舎町である。

 俺の住んでいるのは元城下町で、道が狭く迷路のようになっているが、スーパーマーケットとバス停と近鉄とJRが走り、幹線道路の工事が進み、裏路地を通ってスーパーに行く以外はほぼ車道の脇道となっている。

 「退屈なら散歩でもすればいい」と相談にも乗ってもらえないのは、大和郡山市の実情を知らないからであろう。町の人はお金を持ってバス停でショッピングモールの中に入り、商業施設の中を散歩することは出来るかもだ。しかしバス代もいるし何も買わないショッピング街はただ虚しさと拒絶感を生むだけなのである。

 その意味では九条あたりまでどうにか車道を抜けると薬師寺まで草がぼうぼうの河原を行くサイクリングロードがある。しかし遠方から来るのには名物の薬師寺も、近所にあって数回参れば行かなくなるものである。大仏だろうと春日大社だろうとそんな感じだ。

 そこまで遠出しなくても、奈良には神社や仏閣が多く、徒歩圏内にも八幡神社がふたつあり寺は無数にある。誰もいない神社で賽銭を入れてお参りをすると、一度ならともかく三度も行くとこちらが賽銭を入れているのに泥棒と疑われて警察に職務質問をされるような所なのだ。

 だから家に籠ってネットする。まあ、ケータイいじりとか、ケータイなら持って出られるので地図を見ながら遊ぶことも出来るのかもだが、古いモデルでメモリが全量に近づきどうにか身を切る思いでいらないアプリではなくいるアプリを最小限削って使っているのだ。メモリの多い新型に買い替えるにも買い替えるとまた新型が出る。

 パソコンでネットしているとクアランプール人から連絡を受けたが、だいたいWikiなどをコピペで貼り付けて話にならないので、こちらからマレー語を勉強して現地の言葉で話した方が早いのではないかと思ってそうしたら、多少の会話の後に罵詈雑言をGoogle翻訳で日本語にしたのであろうものが送られてきて、とても傷ついて「やめにしましょう」と終った。相手から話してきて一方的に話をして「あなたと話すと疲れる」と言ってきたのだが、こちらから話すとなると日本の紹介かクアランプールはどんなとろかという質問攻めになりがちだ。外交官というのは相当に知的レベルの高い人同士でしか務まらず、庶民が翻訳を手にしても男女で恋が出来ないかとか、お金か仕事をくれないかとか、物々交換か、したいことが世間話でも初学者の語彙力で世間話をするのは難しいしケンカになった時も難しい。忍耐だと思っていたが、相手の方からリンクを切ってしまい、不通となった。

 その時に思った齟齬から、ネットでこうしてモノを書いていても、地方と東京では違いがあるだろうし、地方同士の誤解や齟齬なんてのはもっと深いかもしれない。俺が奈良は田舎だというと奈良同士から「奈良は田舎ではない古都だ」と頑張る人がいるのだが、それは田舎者のお国自慢みたいなもので、観光の仕事をしている人を邪魔するつもっりは無いが、奈良市ほど大和郡山市が観光に力を入れているとも思えない。

 いや、お祭りとか頑張っているときもあるけど、出店を出して売り上げを数えると皆割に合わずしんどくて後片付けと準備が大変でだんだんお客さんも飽きてきている。

 その意味ではスーパーやモールは毎日お祭りみたいな仕事なわけで、近所の人はそっちに行く。そういう話をしたら日用食のスーパーの弁当がいきなり売り切れて自分の食うメシが無いみたいなびっくりに遭遇したのである。

 次は筒井駅横田交差点から中央卸売市場くらいまで徒歩で行けるか画策している。


🄫1999-2023 id:karmen