旨い店、面白いゲーム、遊ぶ友達、電車賃

 ある大阪の友達はいつも金がない。俺に「なんでいっつもお金あるの」と問う。

 「お金がある」という感覚は人によって違う。1円でも「ある」というのは屁理屈にしても、5万円くらいあったら「ある」なのか、俺の場合は「ある」で想像するケタが遊び友達よりもはるかに多いのでそれを目標にしていて「あるの?」と聞かれても「ない」と答えるのだが、メシなど食いに行って財布を見ると「あるやん」となる。

 まず、俺の趣味は格闘ゲームとトレカであって、ゲーセンで100円を入れ合って遊ぶのが普通の感覚であった。それが最近では家庭用で遊ぶためお金は貯まるが、100円ずつだから1万円でも100回相当で、ゲームソフトを買い替えるとまた無くなる。1000回やれば10万円相当になるので、いまでもPS5ではなくPS2で遊んでいてるので、それでPS5代相当を貯金にプラスできたと思っていただきたい。いいかげん飽きているが、ゲームに勝つためにトレーニングなどを辛抱できるのなら、その耐えるメンタルでもって新しいゲーム機を買うのを我慢したり、対戦で負けてムキになって連コインするのを我慢して負けておいて家で遊ぶようにしているのだ。

 だから昔ほど店で遊ぶ仲間がいて飼って活躍するわけではないうえ、家の近所の人にはいつも家でゲームしていると思われている。大阪のゲーセンで遊んで帰ると、近所の人は俺が何をしてきたか分からないわけだから、ゲームをしているのを隠したいならそれはメリットにもなるかもだが、今は別に公言とまでは言わずとも、隠すことなく遊んでいて、周囲もそれを察知している。ほとんど盗み聞きして遊んでいるとひそひそ話のネタにされる感覚だが、そういう地域なのだ。

 そしてもうひとつのトレカであるが、これも今まで集めた分量を何度も繰って遊んでいる。いわゆるスタンダード訳すと現行トーナメントでは直近2年分ほどの新版カードセットのカードしか使えないルールなので、参加には買い替えが必要だが、個人的な探求心で「強いデッキとは」というところを考えて遊んでいるだけなので、パソコンでエクセルで計算してみたり、自分で組みかえて繰って試すだけで1円も使わない。

 よく現行トーナメントに参加する人は新版カードを買って絶版カードは売ってしまう。その額が案外とバカにならず、新版カードを箱買いして店売り価格の高いカードを引いたら当たりだと喜ぶが、実際に手元に入るのは絶版になるタイミングでの買取価格なので、そういう差額で少しずつ損をしているのがバカにならないのだ。

 だから、トーナメントには参加できないし、トレカ友達も昔のようにたくさんはいない。それでもその場で開封したパックで戦うリミテッドは当たったカードをもらって帰れるので、そればかり出ていたが、それで得をしはじめると、ある日「もう持って帰らないで全部置いて行って!」と追い出されてそれから行かなくなった。これ商法的にいまでも言う事を聞く必要があったのか、悔しい思いをするのだが、グレーのままだ。

 それでもまあ強いという事で、格闘ゲームもトレカも奈良の三条のCUEか八木のひばりやで遊んでいたことがあって、出来れば近所のキューピー堂で遊びたいと思っている。ただし、キューピー堂のおばちゃんはケチで新しいゲーム機は入らないし、トレカも売るだけで大会などは開いてくれないし、最近では仕入れすらない。店の息子が自分で買って古物になったカードを売ろうとしてほとんど売れないのでやめたらしい。その理由をアンタが勝つからみんな来なくなったと俺に押し付ける始末だ。

 大阪まで出ると電車賃が往復で1200円くらいかかって、ゲーセンでカードショップでさらに使ってだいたい友達と食事を飲食店ですることになる。出発する時に1万円札が入っていても帰る時すっからかんなんてのは昔にはザラであった。

 そして近所の飲食店には流行らないで泣きが入ったこともあったが、最近は俺や親父が常連客になって、人も入っている。近所から食べに来る人も珍しくなくなった。

 俺はこれが格闘ゲームやトレカでも、奈良で出来て他府県から奈良に遊びに来たらゲームが面白くて遊ぶ友達が出来てメシもうまいとなると観光収入に近い形となって、さらに近鉄株なども盛り返すかもしれないと思っている。

 そんな目論見を知ってしまって誰が来るかと思われるかもだが、それが俺が大阪に行かなくなった理由で、奈良県大阪府とか京都府の財政状況の差と結びついて考えている。

 まあ、国道まで出るとトイザらスがあって、その傍でトレカも子供がしているらしい。俺はどちらかというと鉄チャンたっだので、JR奈良から行ける三条か近鉄八木のひばりやかという感じだったが、ひばりやの方はまあ繁盛しだして、店のおっちゃんに作戦を伝えると「やったるからもう来んでいい」という話ではある。

 三条のベンテンドウはというとこれまた店主がケチで、トレカを盛り上げるのに景品くらい出せと言うと「売ってもらえるだけ有難いと思え!」と言ったので、その店で遊戯王をしていた子供にゲームボーイやDSの遊戯王をすすめたら皆それで遊んで誰も来なくなって閉店した。

 翻って、どうして大阪の友達はいつも金がなく、俺にはあるというのだが俺は無いと思っているというその感覚が少しでも伝わればいいなと思う。

 今日の飯は雑費込み361円ののり弁当だった。ストIIターボも餓狼スペシャルもSFC版でさんざ遊んで飽きているし、強くなって勝てるようにもなったと思う。けど、昔は俺が入れる係で店が回っていた部分もあって、100円で連勝出来るとしても大阪までの交通費でカセット1本買えてしまう。トレカだってキューピー堂で売ってくれれば電車代無しで買えるのにな。ただし、キューピー堂で遊んでいると通りがかる女子高生から「キューピー堂のお兄ちゃん」と呼ばれてしまい、宮沢がゲームに強くてギターが弾けてもキューピー堂のお兄ちゃんの名声と化してしまい、それが嫌で通わなくなったのも追記しておく。


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