頑張るなんてずるい!

 俺はうつ病になる以前は結構な頑張り屋さんだったと思うが、怠け者の同級生から「頑張るなんてずるい!」と言われたことがある。衝撃だった。

 しかしまあ、就職する以前から学生時代にタメがあって新人で活躍して忙しかったわけだが関西圏では知っている人がいてもネットの情報源が首都圏の時代に糸井重里が「俺は若い頃に忙しかったなんて言うやつより若い時にはなーんにも仕事なんてなかったというやつの方を信用する」とかコピーライティングされて、大阪の会社で休憩中に見ていた「ほぼ日刊イトイ新聞」にむかっ腹を立てていたりしたものであった。

 さらに世の中には魔法使いがいっぱいいて、レンチンしただけのメシを皿に盛ってドリンクと一緒に美女が給仕することで魔貨を稼ぐように、技術者がいてもサポセンはお姉さんが電話受けだったり、まあ女性差別とか噛みつく人は放っておいて、役割分担でしているような仕事でも人目に活躍する花形と縁の下の力持ちになる裏方がいて、役職や身分や給料でそれが決まるのではなく、見せ方上手や隠し上手がいるのだ。

 そんな折に「頑張るのはズルい!」とか言ってた同級生は放っておいても「頑張って見せるのはズルい」と思うようになってしまったのである。白鳥たちは水面下でバタ足しているのです「BYけいおん!」なわけで努力は隠すのがカッコイイと思っている時にちょっと頑張って見せた奴に隠した努力の手柄を取られた感じがして、まあ過ぎてみればよくある出生競争だしヤキモチの妬き合いだし、他愛もないことなんだけど。

 それでまあ、スマホでメモが取れる時代に時代遅れに革の手帳にびっしり何かが書かれているみたいな「努力の証拠」アイテムを持参するべきだといつからかなった。

 まだまだ、ギターを弾いて歌って見せても、音源が生録とは信じられない人からしたらレコーディングスタジオの風景動画とかの方が説得力あるわけで、ギターもプラグからエフェクターボードに繋がっている方が絵的な迫力もあるし、絵力が弱いのかなぁと弱気になることもあるのですが、その「見せ努力」は世の中で一番狡猾なたぐいであるテレビ局のような人間との対決になって、そして努力の映像が定まってくるとそれをAIで作る生成系との戦いも第三勢力として始まるのだろうなと思うわけです。

 だからネット越しに動画や静画や文章で努力アピールって発想自体がYouTube時代的でテレビ局から見てYouTuberの取る映像手法が映画やテレビで使い古された手法で頑張らないで「頑張れよー」ってやる気なさげに言われてる感じがするんですが、それはテレビ局に上がれた人間が前時代に努力した残滓であって、そして戦うべきは新時代生成系AIって俺自身もエンジニアとしてAI技師の端くれ足れるかというと会社で言う窓際族的な用無し要因の予感しかしていないのもまた事実なわけですが。

 考えたら、この手帳だってAIに「びっしり書かれた手帳の画像」とかいうとホイと出るのかもしれない。そしてテレビドラマで役者がびっしり書かれた革の手帳を持っているとしたらテレビのスタッフが内容考えて一日くらいで一冊びっしり書いちゃっていたのかもしれないわけで。

 だとすると役者たる芸能人に成れるのが予備軍の100倍以上の倍率で、悔し涙を飲んでいる裏方なんていくらでもいるわけで、前時代的手法でもYouTuberでひと旗上げてやろうとする第二勢力が活躍中の今の時代も読み解くヒントになるのかなと。

 まあ「頑張るなんてずるい!」とごねる人に構う暇は無いのですが、世の中人間関係も大事だとも思うので「もっと頑張れ」はしんどいけど「頑張ってるとこ見せるのはずるい」という人がもしいたら、ここは反対に引く方が得策なのかなぁなどとも思います。どういう結果が欲しいかという所が有名になりたいで被っている人がいっぱいいて、有名になろうにも全人類スマホいじりだったら分母は80億しか無いわけで、3億とか取っちゃうミュージシャンが多分俺の目指すゴールなんだろうなと思うけど、それが俺では無くてYOASOBIやback numberでも主観としては全然平気。頑張れ!


🄫1999-2023 id:karmen