ドラフトの基本「ドラゴンは最初に取る」

 プロツアー予選抜けとか、店舗大会入賞はあるけど何かもう少しスッキリしないモヤモヤがMTGに対して残っていた。デッキメーカーとして利用されている感じがしたこともあったが、デッキ原案として強くても、多くの真似た人にちょっと抜かれる。そこで意見が合わない。それらは数学の中で「確率」を基軸に考えたからだと分かった。

 MTGを確率で考える上で、カードアドバンつまり手札損得や戦場を「カードの枚数」で考えるところがあった。「予言」を使うと1枚得。みたいな当たり前の考え方。だが、それで得したカードで何を持って決着するか。大体の相手のはメカのようなデッキで圧倒的な手札得をして、圧倒的な物量で勝ってきた。

 だが考えてみよう、スタンダードにミラージュが入った後の世界選手権、日本ではカウンターポスト全盛だったアイスエイジ環境からミラージュが入って買ったのは黒ウィニー。ポストトークンでブロックできないプロテクション白の黒騎士で殴っただけで勝つというメタゲームは世界のプロの間で少し先に展開されていた。

 対する準優勝のカウンターポストは日本式ではなく、熱狂のイフリートとワイルドファイヤの密使が4枚ずつ計8枚採用されていた。ポストトークンが並んで勝つのを待つのではなく、クリーチャーを出して殴り勝つ方が結果が出やすい。(25年前の話)

 まあ、現場からは退いているが、どうしても分からなかったもうちょっとの部分が分かったと思う。現場ではもっと先の理論とか新しいカードを使ったプロがいるのかもだが、本や雑誌を読んで丸呑みしてしまった部分に自分なりの「いいや、こっちが」という部分が出てきたのだ。ただ否定したいわけでも無いし、ほんの正しい部分は消化した。是々非々で、取り入れるべき理論と、より上位の結果を出すものとの議論ですり合わなかった部分で、何か騙されているのではないかとも勘繰ったところに答えが出た。

 ただ。独りでこれだけ高得点カードを独占するということはプロのドラフトでは有り得ないのだが、始めたての人を集めてA組プロ志望のB組の人が勝ったというと、そりゃ当たり前だと思う人もいるかもだけど、俺がしていた頃は「あんなもんにプロとか腕とかあるものなのか?」と思われていたものだ。

 デッキだけではなくブログ記事も引用に近い形で勝手に使われているのを見つけたが、まあ俺もカードの画像を勝手に写真に撮っているので、著作権問題は相子でそうなったときに「どちらが先にやったか」という後先の問題で考える人と「どちらがどの程度やったか」という損得の問題で考える人がいる。日本は米中より小国なので、やり合うと負けるから、やらないのだ。やらないという約束を取り付けて、やり合ったら損する部分をノーゲームに持ち込んでいる。

 その意味で、俺も過去に損得で見て「こちらが得」になったポイントでMTG仲間だと思っていた人は周りからいなくなり、近所の店も商売をやめた。俺としては寂しくなって、遊び場も無くなったが、手元には強いカードが既に集まっていたのだ。

 「強いカードも弱いカードも無く、全てのカードは一長一短でどんなカードも使える」みたいな論理は、弱いカードを強いカードと換えてもらうための口実である。そこを否定すると、行商人を裁くこととなる。

 騙され上手でたくさん買って、交換で強いカードを無くしてしまうグッピーがいるから、それで商売できる業界があるのだろう。あとはあるとしたら、カモを見つけてだまし取るしたたかさと、それを巧みに隠す人当たりの良さか、もしくはその免罪符となる戦績ということだろう。

 しかし現実のMTGは既に紙カードのレーティング団体のDCIの解散と主戦場のネットゲーム化で、趣味としての紙MTGが残るなら「ルールは知っている人」としてまた遊べる日も来るかもなとは思っている。

 まあ、雑多にあるものの真価が見極められるかという点で、札束を読む金持ちが小銭の贋金を見極められるかみたいな勝負に、結構いいところまで行ったという話。偽札に騙されているようでは勝負は始まらないが、そこから始めてしまったのかもしれない。


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