歯医者さんをすっぽかしてしまった

 去年から何度か通って自覚症状はどこも無いのだが、お薬つけて歯磨きという歯科衛生士さんだけの診療で次々と予約が入り、人間不信になって「もう行かんでええんちゃう?」と思って歯医者さんの予約をすっぽかしてしまったのは今日が13日の金曜日。縁起の悪い日に予約入れて来るなぁ、とは思ってたけど、だから俺が貧乏くじ引かされてる気もする。

 坂本龍一の「戦場のメリークリスマス」の一部をピアノで弾いてみた。楽譜が無いので覚えているところを当てずっぽうに弾いてみると8割くらい当たる。絶対音感ではないかもだが、俺はこの8割音感でピアノを弾いている。

 レミレラレ、レミレミソミレミレラド (高い)ド シソミ

この高いドのところが曲の中で最も好きなところだ。

 俺は子供の頃はピアノがほとんど引けず、ファミコンばかりしていた。レコードCDを買ってもらった時にアルバムの中で最初は好きな曲ばかり聴いた。

 それがギターを始めてついでに鍵盤も練習するようになり、ある日にドラクエのレベルアップのファンファーレを弾けるようになると、狂ったようにそればかり弾いた。

 いい加減、自分は音楽を仕事にするだけの技を持ちながら、就職とか商売の関係でそれを生業には出来ていないけど、飯食って好きなだけ音楽は出来る。その環境で音楽を商売にすることを考えると、自分が気持ちよくなれる音楽を退屈なものと組み合わせて物語に起承転結を付けて組み上げ、そこでおいしいところは商売的に小出しにしないと成り立たないのではとここへ来て気付いてしまった。

 思えば音楽雑誌の取りためも文章を最初は難解だと思った部分が用語が分かると他愛のない事に気付き、段々と楽譜を読むようになり、楽譜を読み比べるとだいぶ昔に取ったギターの教本に1冊いくつか名曲の古いものが再録されており、新譜は微妙に感じる。まあ流行りものではあるから、新譜が新譜であるときは皆のあこがれなわけだが。

 段々と全てが割高に感じ、自分の演奏も1曲というか1番ワンコーラスのみになる。

 けど、仕事でやるっちゃなったら色々と楽曲の仕上げやまとまりや衣装やら場所取りやら、雑用みたいな準備行為がどんどんタスクとして思いついてくる。

 反対にそういうものを商業音楽と切り捨て「パソコンで作曲して旨味のあるところだけ仕事にしたい」と話していたかつての仲間で今は疎遠だけど、最後にあった時は「CDに曲を10曲詰めて上手い絵描きさんに描いてもらったジャケットの絵だけで売り上げが決まり、同人でどうにか年収150万くらいで食いつないでて・・・」みたいな話だった。

 あいつ音信不通になったけどどうしてんかなぁ、と思い出したところで今日の夕飯。

 まあ、メシが当たるだけ良いってもんだと思うと職業の悩みって贅沢な悩みよね。

 そう考えると歯医者さんの受付の医療事務もお医者さんがお給料出してて、お薬仕入れて歯磨きゴシゴシで定期的に診療報酬が入らないと経営に響くわけで。もしホンマに何か悪くなることがあったら歯医者さんおらんと困らんかなぁ、と心配はする。

 その意味では、音楽はぼったくりであれ何であれ、俺の人生の灯であってくれた。

 実は今微妙に疲れているのも、昨晩というか早朝というか午前2時ごろに目が覚め、この時間には近所迷惑かと思われたが衝動が抑えられず、シンセサイザの自動演奏とギターの生演奏を絡める練習を何時間かやっていた。そして眠くなり仮眠を取ると起きたら昼前で、けだるいままツイッターを見たりして過ごしていた。

 ふと戦場のメリークリスマスを弾きたくなったのは、その後のことである。

 あの頃は歌モノのロックポップスだけじゃなく音楽の勉強もしなきゃね!と思っても楽器は手に取らず坂本龍一でしょ!ってなったんだったなぁ。

 あのひと粒の雪のような音は何だろうってのが俺の想像と探求であったな。


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