サイバーエージェントに「どすこい」してみた

 ラプラスの求人票を見比べて随分経つが、求人で求められている技術用語と自分の技術のミスマッチをずっと感じていた。就活というと専門学校時代には有名ゲーム会社の任天堂ナムコ、アトラスに応募したが、何故かカプコンは出さなかったな。企画のエントリーシートなども何枚も書いた。結果はダメでメディックスという小さなゲーム会社でゲームというか趣味実用ソフトを作り、その経歴から中途採用でユニオンシステムに通った。

 しかし病気で退職してから、無職で実家に引き籠もっていた頃から俺のことを知り始めた人には歳も若く見えたのか大学に落ちた浪人生か何かと思われていると思う。桜の季節が来ても学校にも行かず家にいる。それも理由があって、薬を飲み始めて自分で言うのも情けない話だが天才肌の頭でガガッと考えて何かに当たる感じがぼんやりして無くなり、生きがいも見失っていたところに俺が受験生の頃に言われていた「受験はどんなものでも愚直に勉強すれば成果が出る」という言葉を信じてみて、もういちど勉強をしてみようと思ったのだ。それから高校の学参を買い、それでも苦手な科目は中学のマンガ解説書も買い、小学館や学研の図鑑などの子供向け図書も買った。そりゃ、その様だけを見て顔を見ず服装も安っぽいので浪人生と思われたのにも誤解は無いわけだ。

 町家から出て来て、コンビニかスーパーで買い物するくらいで、町の買い物客の噂話だけで直接的に会話をする相手がほとんどおらず「落ちた」という噂が耳に入る。それがとても辛いことがあって、ひどいときには病気がぶり返したりもした。

 しかし、長い勉強はいつしか自分の力になったものの、それ以上に年月が過ぎた。「もうだめぽ」ともあきらめかけたが、いま再び応用情報技術者試験の勉強をするまで勉強を巻き上げて、将棋プログラムもアップデートして、求人サイトの評点が上がり、年収1000万円を超える求人に応募して、不採用の通知が来た。

 思えば、ここまで全てがその就職活動へとつながってきたと思うと清々しさもある。もともと仕事が無いわけではないが、自己実現の出来ていないことに悩んでいた。勢いで、もうひとつ自分のスキルに合った求人がサイバーエージェントで来ていたのでそれにも応募した。

 傍から見て、無理なものにぶつかる「どすこい」みたいな就職活動だと思う。

 ただ、ユニオンシステムに通った時もそれ以前の学生活動から任天堂を目指していたので、今回も無理目の企業に体当たりしながら、少し希望を落とせばどこかには仕事があるってか、既に個人事業主として自分の仕事も持っている。

 サイバーエージェントに応募するにあたり社長の藤田さんの名前は元気で勤めていた間にステップアップを望んで読んだ本の中に連名で名前が入っていたのを思い出した。

 結果は後日になるが、やっと何かぶつかることそのものに手応えを感じる就職活動が出来たと思っている。目標すら見失っていたが、病気になる前の自分と比べて弱ったところは無いと言えばウソになるが、確実にあの頃より出来るようになっている。

 ただまあ、時代の流れは速くサイバーエージェントに追いつけ追い越せのもっと若い企業もたくさんあって、会社写真に写っている社員も自分よりずっと若くて入ったら浮くだろうなぁとか思ったりもする。

 ただ年を食ったのではなく、サイバーエージェントという名前を東京にある得体のしれない新しい会社という感じではなく、大阪にも事業所を構えたなじみのある会社として見て、仕事を一緒に出来るかどうかという交渉まで持ち込んだわけだ。

 あとは返事が来るのを待つだけだが、決まった後のことも考えられるようになった。

 採用でも不採用でも、悔いのないところまで、自分なりに進んできたつもりだ。


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