音楽活動を休むことにしました

 軽音楽とは言うけれど、ギターを弾いて歌うという行為があまりにも軽視されていると思うのです。俺の住む家の近くには銀行が大変多くて、政治家の家とか商店街とか土地持ちで大家さんで食っていけるお金持ちの世帯が多くて、音楽もまあ習い事のひとつとしては街にあるんです。

 けど、銀行屋さんは借金をさせて金利を取ってお商売を月々幾らで回すという頭で、商店もモノが売れてナンボ。そうすると音楽ってのはラジカセで聴くものでカセットテープ幾ら、CD1枚幾ら、レンタルが780円でダビングが無料で儲からない仕事だけどバブル期にはレンタルビデオ屋くらいは街にありました。

 そうすると、ギターが1万5千円だとして何を演奏しても大家の坊ちゃんが道楽でやっているからタダで聴けるみたいな話であって、レコード会社があればCDが1万枚で原価300円の売価3000円で店に1800円くらいで卸すとすると1枚1500円で粗利1万枚で1500万円と言いたいけど、実質無料のYouTubeで配信してみて1曲100再生前後、多いもので500少ないものは7とかなわけです。500と見ても75万円行くのかぁ、すごいなぁ、売れっ子の作曲家が月給30万円くらい行くのはそのくらいがコンスタントに打てるんだろうなぁ、とも思うんですが、俺の場合は全部無料で会社員時代の貯金と病気でもらっている保険金と親のものではあるけどお家賃が入ってくる側で、その親父も年金もらってて、それでスーパーの弁当とかマクドのセットで暮らしているんです。普段はテレビ見てぼっとしてます。

 それで若いミュージシャンが東京を目指すのはライブハウスという劇場みたいなところがあって、お酒が1杯ついた観賞チケットを3500円くらいで手売り10枚集めて店に半分返してバンドは半分くらいもらって、それで毎週末とか演奏すればバイトを足しにしてそれで東京で食っていけるとか、そういう算段があって、それで多くの人といっても会場に来る人ホントは少ないんじゃと思うけど、まあ役があるわけです。

 その点、大和郡山市には市立の大音楽堂があるわけですが、クラシックが基本です。お祭りで音楽かけると言っても俺が生演奏でやってもラジカセに負けます。それで3年ほど前だったか、チンドン屋と一緒に若い女性のクラリネット奏者がひとり立たされて笛をピーヒャラ鳴らして歩かされていました。多分文化度の高い街ではクラリネットも四重奏でお客さんが好意的に聴いてくれるというのもあるんだろうけど、この町ではただの笑いものにされていました。

 「そんなもの1円にもならない」

 お金を出す側のお客さんが決めてしまうから、1円も入れてもらえません。

 その意味では都会のライブハウスというのは町人がすなわり社会人として都市部で高給をもらっていて、自分の好きな音楽に3500円を出せるという人が街にたくさんいるから成り立つお商売だとも思うのです。地方にも劇場に類するものがあっても、お酒が出るなら女性が接客に付くとかしないと舞台上で音楽をするだけではなかなかお金を出してもらえません。テレビに出ている有名な人で大きな会場でみんなでとなって、ようやくチケットが売れるようになるんです。

 そう考えると、軽音楽をなめているとか軽く扱っているのを買い手であるお客さんのせいにしているのが実は間違いで、上手くやれば地方の人も何気なくカセットやCDは買っているわけで、実は人気のあるジャンルだったりもするわけです。

 そしてその人気取りの競争の前哨戦として下北沢でのライブがあるのかも。

 足元の危ういお商売を立たせるために楽器や録音機材を高級品として原価率をなるべく上げてお商売自体がなめられないようにする、という威しは売れてからは必要かもしれませんが、ウチはこのギター1本でやっています。これでも弦の張り替えとかチューナーの電池交換とかシールドの交換とか、多分もうすぐ経年劣化でネックの張り替えとかもいるやろなぁ、と思うと少額とはいえランニングコストがかかるものなのです。

 アマチュアでむしろお金を出してやっているというとなめられそうで、それに抗って頑張って来ましたけど、主業としてやっていくにはまだ工夫が足りないなと思います。

 近所の人は親父がどれくらい持っているか知っていて金持ちの息子に何でカネ渡さにゃいかんねんって嫌いがあるから同じ音楽でも俺がやると笑われるのかなぁと勘繰ってしまうのですが、かくいう俺も何で音楽を披露するのに都会のライブハウスで不利な場所代契約を交わさないといけないのか、みたいな反骨精神も併せ持っています。30代くらいまではそれでも素直に下手に出てオーディションとか受けたんですけどね。

 まあ、お金の話もしないなら、今までと同じように動画作ってアップしてれば良いんですけど、そろそろお仲間と言って良いのか、同業者でのマンネリ感もあるし、本業としていたソフト関係は休業中だし、ゲーム関係と言っても同業者に見えていた人がめちゃ金持ちで趣味でやっているだけで、上のクラスになると役職者から退職金もらって年金もらって趣味開発とかなので、そんなもんに日曜大工的な趣味プログラマで勝てるのかというと、そういう心理的な勝ち負けのために全てかなぐり捨ててやっている人には負けておいた方が生活が楽だという現実があって、もしかして音楽もそう?

 それでも幻想なのか現実なのか若き天才ミュージシャンというのはたまにいて、若い人が憧れるのも分かるけど、自身が若くなくなってくると憧れが自然消滅して、年相応に努力を重ねた人と如実に力量差が付いて来ると太刀打ちできないなぁと思うに至ったわけです。

 大家の息子がサラリーマンして給料丸々お小遣いでカネが浮いたとして、豪遊して使うとやっぱりなくなるわけで、そこを抑えて貯めたカネを種銭に何かの仕事をしようとした時に音楽ってので勝算あるかというと厳しいかなと。当たり前で申し訳ない。


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