奈良の産業的な発展について考えてみた

 奈良といっても奈良市に限るが、産業があまりなく観光が主業である。

 このことに対して、政治的に産業はプラスサムで発展性が見込めるが観光が主業ではそのうち他府県や海外に収益率で後れを取って、比較的に貧しい街になるのではないかというような杞憂とも言うべき不安感を持っていた。

 専門卒でIT系の起こる前にソフトハウスという業態でプログラマをしていたが、大阪から奈良に帰ってくると「パソコン関係」とざっくり割り振られ、シャープの工場に配属されて、複写機の操作パネルを作ったり組み込みの制御をするくらいしかソフトウェアの仕事は無かった。仕方ないので自宅でブログを書いたりゲームを作ったりギターの弾き語りを自撮りしてYouTubeにアップしたりしてきたのだ。

 それで退職してニートに等しい生活も5年目なのだが、そろそろ高校生活を悔いての再勉強もどこかで諦めて仕事を探さなきゃという焦りに変わっている。世界史とか、地理とかの大きな視点での社会科がそもそもの焦りの原因ではある。地理的に見て奈良で観光が主業であることが貧しいというのは奈良で引きこもりながら統計資料を読んで作り出した想像であって、その想像がある程度は正しいのか全くの妄想なのか分からない。

 まず、地図を見て鷲池か佐保川まで行けば水場があり魚釣りとか出来ないかと考えてみた。奈良は内陸で海まで出るのに最短でも2時間以上はかかる。漁業や港での輸入業は出来ない。農地面積は少なく食料自給率は国内で15%程度らしい。秋田とかは200%とかあって、自県で消費する倍のコメを作って他府県に出荷しているのだ。

 そうすると製造業ということで、まあシャープの工場に勤めてはいたが、自分の領域はソフトウェアで、そこで知り得る限りパソコン事業があった頃のX68000などは中国で製造して輸入して売っているだけだったようで、ブランディングという意味では成功していたが国際競争力という意味では国内にブランドとして輸入加工をしているだけで、中国から他国がノーブランドとか中国ブランドで買ってしまうと競争にならない。

 他には靴下などが県産としては有名らしく、ちなみに市の特産は金魚であるが、昔は金魚池が西のはずれにたくさんあったが最近はそこまで足が向かず、水槽で養殖しているという話も聞く。確かに愛玩用としてある程度の需要はあるのかもだが武器としては弱すぎないかと思ってしまう。

 そうすると奈良南部は森林地帯が多く林業ということで、これは立派な産業だと思うけれども材木としての利益率は非常に弱いと昔学んだことがある。立派な仕事だとは思う。

 製造業を自分でするとなると工場を持って原材料を他府県から輸入など考えると恐ろしくハードルが高く、モノの本で読んだお金を稼ぎ始める前に大借金をしないと元手が出来ないという現代の資本主義の逆転が気になるところだが、それはまあ音楽でも蓄音器が出来てレコードから歌が聞こえるのが珍しかった時代と違って今はテレビやラジオで聞く歌を本当に歌う人が珍しくて野球場コンサートに人が集まるという逆転の時代。何がどう逆転しているか分かっても逆転が当たり前になっている庶民の常識には逆らえない。

 そこまで考えると、材木から木材を加工して木製品を売るというビジネスを考えたときに銀行のような原材料と加工料と売価での粗利計算は役に立たず、実質的に細工の出来る職人仕事があって初めて木工品が出来るのであって、その細工が極まったものが神社や仏閣であって、木工品を作って売るのではなく神殿となった木工品でモノを売らずに拝観料を取って観光収入という今日の勉強のスタート地点が成り立っているので、じつはモノを取られず拝観料を取れている分だけ神社や仏閣のキャッシュフローは好循環であって、観光が主業ではやがて細るという自分の心配が杞憂であることも理解できた。

 ただまあ、産業としては行き詰まりを感じて市政も動こうとしているものの何をやったら良いか分からない街ではある。お経でもあげとけばいいんだろうか。

 今までかなり独善的にブログを書いてアップを繰り返してきたので、せめて地図くらいはよく読んで地域の事をもっと知ろうとした。Googleマップで見た俺んちの近所はこんな感じ。あまり広域にしても基本徒歩だし、歩いて行ってもお金を使う商業施設に捕まるばかりで、買わないで歩いていたら泥棒呼ばわりの商業地帯なのである。

 自分で自分の事を優秀と言っても世話は無いが、高校卒業を機に多くの卒業生が他府県の大学に進学を決めた。最近は京都大学への進学が増えたようだが、俺の頃は学校の方針で「東を目指しなさい」というのがあった。東京大学を暗に指しているのだ。

 東京は確かに日本の中枢で中央集権が成立していて情報発信基地でもあり仕事も多い。ITで仕事を探しても勤務地の99%は首都圏だ。けど俺んちは奈良県大和郡山市市だ。10代は東京に憧れたし、20代は大阪にいたが40代になると親から相続で家を継げるかもなのに家を出て働いて他府県に移住して何になるだろうというとても情けない感性をしているのは盾にするではないが病気の事もある。

 そんでもパソコンの打ち込みくらいは仕事に出来るわけで、奈良県について政府白書より有益な情報が俺に書けるかと僭越ながら愚考を繰り返しているのである。

 蛇足になるが、音楽もギターの買い替えではなく録音機材のハイレゾの価格帯を見てみたりして音楽活動や住むんじゃなかったのと宣言した翌日からその調子ではあり。

 他には太平化学産業という大和小泉付近の工場を見つけて、就職を探したら新卒の経理のみでこういうところは化学系の大学から内定だけで採用なんだろうな公募無いんだなと思うなど。その意味では俺もIT系の職歴だけで公募のない会社から契約社員になって働いた経験もあり、20年もやったソフトウェアを今更路線変更するのも違うかなとは思う。

 首都圏のITっぽいことを奈良の民家でノートパソコン1台で出来ないかという相談ではあるのだが、自宅にラックを組んで大きなパソコンを何台も入れたのが集積度が上がってノートパソコンになり安価になったのがこの20年での出来事で、ノートパソコンを家に5台持っていても勉強机のこの1台以外は実質的にほとんど使っていない現状ではあります。素数の計算は億桁くらいでやめて、将棋の機械学習とかは走らせてもハイスペックには勝てんよとどこかやる前から逃げてます。そしてブログの打ち込み。

 まあ、蛇足が長くなってしまったのでもう一度書くけど、木工は原材料の材木の価格と加工料と売価の計算ではなく細工の良さで産業として成り立つかどうかが分かれ目になると考えている。職人仕事なのだ。この考え方は繰り返し僭越になるがコンピュータゲームでもインベーダーとさほど変わらないゲームがドット絵や音楽の細工の良さで繰り返しで売られていて、とてもニッチなジャンルとしてSTGというのがある。

 「神は細部に宿る」とはどっかの外人の言葉を翻訳したものだったと思うが、文字通り大仏さんでもお稲荷さんでも神社仏閣の細工があるからそこに神がいる厳かな感じがするのではないだろうか。


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