3DCG関係の仕事がしたいって思っても、どこまで?

 俺の心は失意の中にあった。専門学校でCG制作が楽しかったのだが、それは卒業制作の3カ月が終われば晴れて就職、栄転を目標として夢を見ていたからだ。

 その中でも実習室にこもり、家のパソコンと学校のパソコンを数枚のフロッピーを持って往復してデータのやり取りをしながら、卒業後に映像関係に就職したら一生この仕事を続けるのだろうか、それは夢ではなく地獄ではないかという不安もあった。

 その後のことは職歴として整理する必要もあり何度も思い返して書類にまとめたが、専門学校に居た頃はどうしてCG制作に楽しみを見出していたか、となると自分を含め映像作品を仕上げる過程で「こっちのほうが上手く作れている」と思えるだけの負け役の学生が周りに居たからではないかと思う。

 すでに学校内では「アイツらに勝てるわけがない」というムードはあったが、勝っている方には「いつまで続けるんだ?」という迷いがあった。

 他にも簿記やDBにプログラミングやCG以外にも単位は色々あった。それで在学中に夢を追うのではなく「食っていける、カネになる」をちゃんと意識して、仕事を持って余暇を持ち、余暇でもって趣味として芸術とか創作に打ち込むだけの作戦を立てられたなら、そちらのほうが人生の勝ち組になっても全く不思議ではない。

 俺は学校で仲間を見つけられなかった。卒業後に今も連絡のつく同期はひとりもいない。ただ、就職してから出世競争の様相を呈してきたときに、専門学校のプログラムの先生が不意に現れて管理職の上のポストにスコッと入って来て「お久しぶり!」と。

 まあ、今日はブログにツイッターの動画付きポストを貼り付けて、このサムネイルがRSSに反映されるかという実験である。絵が出るか出ないか。

 サムネで出るなら、ブログ作業もひと手間省けて次はモデリングという作業を何かで省力化できないかという段になる。それでもCAMという手仕事になるが、雇われてやると成果物納品となるので、安くとも作業自体を自宅でして、成果物をファイルで販売する方に持っていくとどうなるか。基本的に雇われ仕事よりもっと取り分は少ない。

 これは何故かというとCG発展期にベンチャーが立ち上がり、組織的にCGを制作することを目標に投資を募り、パソコンとモデルソフトをひとり分150万円とか見積もって、従業員が月給15万で3か年計画で20人とかなってくると3000+12600万円でおよそ1億6000万円とか資金調達して、モデルをデータとして集めてゲームなど作って投資家に半額ほど返せば上出来、そうしてCGメーカーはモデルを取扱業者からその当時に作られたコピーをファイルで1体3万円くらいで買えるのだ。小さいものはもっと安い。

 そうすると、当時は月給15万もらえたとして、今も相場が変わらないなら出世なども見込みがなくプログラマとしてより月給を下げて15万、そして出来るモデルが月数体、それを自宅で作るとなると給料無しで月数体仕上げて1体3万で何体売れるかというと見込みは無いわけで、それは仕事は仕事だが普通は趣味と呼ぶ。

 もうちょっと映像制作で考えたとき上位となるポジションで働きたいよなと思うものの、モデルは基本的に一般業者や消費者レベルでは取引されないし、映像制作の経験年数で行くと自分の職歴はプログラマなので、ド素人の1年生からキャリアを積みなおして現在45歳15年で60歳だ。

 そうすると3DCGの仕事がしたいって言っても「どこまで?」となる。業界のビジネスの構造的な問題で最後を映像DVDなりブルーレイで販売とすると2時間映像で4800円という所。その土俵でカメラで俳優を取った映画と勝負をすることになる。

 そりゃ簡単に負けられるよね、と思う。「負けろ」と言われて負けられるやつはいても「勝て」と言われて勝てる奴はそうそういないわけで、家族が一攫千金を夢見て頑張れしてくれても父ちゃん勝てないよって、それが俺まだ独身なので、今後そういう仕事をと思っている人が果たして結婚できるのかと。

 何らかの勝算は必要だし、それが立たぬまま猪突猛進で作れるものでもないだろう。

 そりゃ戦場は映画ではなくゲームになるわけで、そこを目指すは技術エリートで戦績としては死屍累々なわけで、相手は米中もいることを忘れてはいけない戦いなのだ。

 だいたい民放のドラマがクール3000万円くらいの予算らしいので、そりゃCGアイドルよりも永野芽衣さんとか見る方が普通だと思うし、ロボットとか怪獣とか戦わせたいってのが願望でも、そりゃ別に私財を投げ打って監督ならなくてもレンタルビデオで大体の用事は片付いちまうよねって。


🄫1999-2023 id:karmen